◆太田尚樹『満州と岸信介』を読み解く

 


※要旨


・人を動かすカリスマ。
満州へ行く前の商工省で、満州の国務院総務庁で、
岸が辣腕を奮い政治家への基盤を着々と固めていった
過程にみえてくるものは何か。


・たしかに、岸には飛び抜けて優れた頭脳があった。
しかし、それだけでは人はついていかないばかりか、
却って距離を置いてしまう。


・岸の特技は、ウィットの利いたジョークだった。
これで相手を楽しくさせ、
おまけに話し上手でどんな人間の話にも耳を傾ける、
聞き上手という政治家向きの性格を持ち合わせていた。
いつも表情豊かで「・・・でしゅよ」「ナニだな・・・」
という独特の語り口は、たしかに相手を気持ちよくさせる。


・紋切り型の上から目線の口調でものを言い、
責任の在所や法的根拠を前面に出す癖のある
中央官庁の役人などとは、およそ縁遠いタイプである。
しかも面倒見がよかったから、戦後になっても満州で培った人脈、
古い知己が岸のまわりに集まってきた。
それでいて中身の凄さを秘めているから、
人は魅了され、ついてくる。


・計画経済、統制経済を大胆に取り入れた
満州産業開発5ヵ年計画の早期実施は、
いくら岸が有能でも、個人の力だけでは成しえない。
個人の能力と、
組織として機能させる能力は別物だが、
彼には双方の資質を具えた、
稀有なカリスマがあったということである。


・そこで不可欠なのが広い人間関係の構築力。
軍刀と権力を振り回す関東軍という一筋縄でいかない相手と
渡り合うには、その中枢に人脈を作ることも不可欠だが、
自身が長州人であることが役立った。


・総理秘書官をしていた、岸の長男信和はこう語る。
「はっきり言って、
どうもおやじは人との付き合いがよすぎるように思う。
現職の総理として、
毎日の予定がぎっしりと詰まっているのだから、
われわれから見て、
こんなときに無理に会わなくてもと思われるような人にも、
昔からの友人だのなんのいわれるとすぐに会いたがるし、
またそういった会合にもよく出たがった」


・実際、岸の人付き合いのよさは定評があるが、
相手は軍人、財界人、芸能人、
果ては胡散臭い満州浪人から右翼の片棒担ぎやヤクザまで、
会いにくれば時間を無理に割いてでも会う。


・さすがに見かねた部下の源田が、
「岸さんともあろうものが、
なにもあんな連中と付き合わなくても」
と意見すると、
「人間てのはナニだよ、誰でもこちらにはない、
いい所が一つあるんもんだ。
そこのところと付き合えばいいんだよ」
と涼しい顔をしていた。


・他人への警戒心が薄いともいえるが、
自信の表れとみることもできる。


・長男信和はこう語っている。
「それにオヤジは新聞記者が好きで、
つい気を許してよけいなよけいなことを喋っては、
翌日の新聞で、まわりの者を大いにあわせさせる。
これはオヤジのお人好しの証拠で、
世間ではソツがないとか何とかいっているが、
僕にいわせれば、ソツがありすぎて、
いつもハラハラしている」

 


※コメント
満州での岸は、どのように活動したのか。
それを分析することで、彼のその後の活躍が見えてくる。


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