◆小林吉弥『スーパービッグの人を動かす極意』を読み解く
※要旨
・西武グループの堤義明の帝王学は、
義明が早稲田大学商学部在学中から、
父親の康次郎が他界までの10年間、
徹底的に仕込まれたものだった。
・堤義明は、次のように述べている。
「1日4,5時間はベッタリ父親のそばで
仕込まれた10年間だった。
もっというなら、怒鳴られ続けた10年間だった。
お供で車に乗っていても、ふいに
『おい、あのビルはなんという会社だ。どこでつくったビルか』
と聞かれる。
『知りません』とでも答えると、
『知らん?不勉強じゃないか。そんなことでどうするッ』
と一喝された」
・堤オーナーの起床は午前4時。
上が動かなければ何も始まらない。
・吉田茂、岸信介、田中角栄といった宰相は、
いずれも悪評がついて回った。
しかし悪評を浴びた時点と、
歳月を経た今では評価は変わっている。
・ある記者はこういっている。
「堤義明があれだけモーレツ主義をとり、
一方で批判の声を聞きながらも超然としていられるのは、
結局、彼が『自分を知り尽くしている』ことに
ほかならないんじゃないか。
自分を知っていれば、悪評どこ吹く風で腹も立たない」
・「人を選ぶときは、やっぱり『目』ですよ。
目が澄んでいなくてはいけない」
(堤義明)
・ソニーの盛田昭夫は、
超一流の「国際人脈」6000人の情報網を持っていた。
・盛田の国際人脈の豊富さは、
これはなんとも凄まじいばかりであった。
ソニー会長室のコンピュータには、
交友簿のデータがすべてインプットされていた。
・そして必要があれば、
国際電話一本かけてしかるべき超一流の情報を
収集するといった按配なのだ。
・世界的な規模で仕事を成功させるためには、
まずそれ相応の人脈がなければならない。
人脈の豊富さはまた、情報の質量と正比例する。
第一級の情報というものは、
紙に印刷されたものではなく、
人からの「生の声」である。
・「どんなに苦しくても、打つべき手というものはある」
(松下幸之助)
いうまでもなく危機、トラブル、困難、苦境が、
人間にとっては最高の教科書であることにかわりはない。
・竹下登におけるリーダーシップの極意は、
「気配り、目配り、カネ配り」。
・そのリーダーシップの底流には、
持ち前のしたたかさ、意志の強さ、忍耐といったものが
常に顔をのぞかせている。
反対、批判を呑みこみながら、やがて合意をつくりあげ、
いつしか自分の信念どおりに、
「落とすところに落とす」
すなわち事にあたっては「軟着陸」を目指すのが、
竹下流の「人を動かす」極意である。
・竹下は、国会答弁では決して手の内を明かさない。
・また竹下登は「国会対策の神様」と自他共に認めるほどの、
根回しの達人である。
「消費税」で公明、民社両党を取り込んだのが、いい例である。
・野党からは、
「国会答弁では決して手の内を明かさない。
中曽根元首相よりタチが悪い」
と声が上がるほどで、
これは逆にいえば調整能力への脱帽ぶりを指している。
・汗は自分で、手柄は人に。
・竹下が佐藤栄作内閣の官房長官時代に、
一年生議員を集めた勉強会を作った。
そこで口がすっぱくなるほど伝授したのが、
「汗は自分でかく。手柄は人にあげる。
そのくらいの気持ちで物事に対処せよ」
ということだった。
・人の話を聞くことから、すべてが始まる。
妥協点を徹底的に探る。
・「佐藤栄作さんは人の話をよく聞いた点でも白眉だった。
自分の意見は最後までいわず、
あとから自分の意見をまとめるという、
『待ちの政治家』といってよかった」
(竹下登)
・佐藤栄作首相は、
他人の話をよく聞くことで情報としての分析をよくし、
その上で妥協点をさぐるという極めつけの
聞き上手ということだった。
・竹下登は中堅議員のころ、
5年間の長きにわたって国会対策副委員長の
ポストで汗をかいた。
4人の国対委員長に仕えるなかで、
独特の国対ノウハウをあみ出した。
・この国対ノウハウ2か条は、
今でも自民党国対関係者の範典となっている。
1.靴のカカトをすり減らして国会内を歩き回ること。
すなわち、党内、野党との徹底的な
ヒューマンリレーションに徹するということである。
2.政策性を没却すること。
すなわち、理屈は忘れて野党の言い分をトコトン聞く。
バカバカしいと思っても、ジッと聞く。
そこから問題の妥協点も法案の修正点も、
おのずから浮かび上がってくるのである。
※コメント
今も昔も、大物の人使いはスケールがデカい。
こういう人たちがいると世の中が面白くなる。
見習える部分は、一部でも学びとりたい。
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