◆太田文雄『同盟国としての米国』を読み解く


※要旨


・いかなる同盟も冷厳なギブ・アンド・テイクによって成り立っている。


・日本が米国に頼っているのは、日本が保有していない核抑止力、
弾道ミサイル・戦略爆撃能力・空母打撃力といった攻撃力、
グローバルなインテリジェンス能力、F-15やイージス・システムといった軍事技術、
海上交通路の防護能力、そして食糧やそれを育てるのに必要な事実上の水資源などが挙げられる。


・これに対して日本が米国に与えているのは戦略的な位置における基地と、
それを支援するホスト・ネーション・サポートということになる。


・日米同盟は米国から見ても死活的。
米軍基地が日本にあるということで米国側の兵力展開・振りまわしが容易となる。


・日本人は米国にとって在日米軍基地の大切さを気づいていない。
米軍は、彼らが西太平洋からアフリカまでに至る地域にアクセスし、
影響力を行使できるのは日米同盟のお陰であることをよく知っている。


・在日米軍基地の軍事的重要性。
米軍にとっての沖縄は、第二次世界大戦で、多大な犠牲を払って獲得したときから、
その戦略的重要性はあまり変わっていない。


・ナイ・レポートでは、アメリカのプレゼンスは「酸素」のようなもの、
即ち「普段はその存在を忘れがちだが、なくなった途端に不可欠な存在であることに気づく」
という論理を使用していた。


・日本の後方支援能力も馬鹿にならない。
米国以外で唯一米空母を事実上の母港としているのは日本の横須賀以外にはない。
それは横須賀海軍基地艦艇修理施設に働く日本人従業員の高い修理・技術能力とインフラがあるからだ。


・同盟関係の底辺の絆を支えるのはインテリジェンス関係。
今日の英米同盟関係は第一次大戦時代からの英米インテリジェンス関係が基礎にあるといっても過言ではない。


・オバマ政権の国務省の東アジア・太平洋担当次官補であったカート・キャンベル博士は、
かつて海軍のインテリジェンス士官を務めていたこともあって、
同盟関係でインテリジェンス交換が非常に大切であることを認識している人物だ。


・当然、今日の日米関係もインテリジェンスのギブ・アンド・テイクの関係が基礎となっている。
即ち米国は東アジアの地域特性に根ざす日本の分析能力をあてにしている。
日本はグローバルな米国のインテリジェンス能力に頼っている。


・国境を越えた脅威に対して最も威力を発揮するのは、
「孫子」の時代から「必ず人に取りて敵の情を知る」とされる人的情報だ。


・1999年のアメリカの国家安全保障戦略(NSS)では、
「死活的国益」を「国家の生存、安全、活力にとって極めて重要な国益」と定義している。

具体的には、

1.米国及び同盟国の領土保全、

2.米国民の安全、

3.米国の経済的繁栄、

4.重要インフラ(エネルギー、通信、輸送、銀行など)の防護、

とされる。


・また次のランクの「重要な国益」とは、
「国家の生存には影響しないが、国家および世界の幸福に影響を与える国益」
と定義している。

具体的には、

1.地域紛争の終結と平和の回復、

2.大規模な難民流出阻止、

3.大規模な環境破壊からの平和の回復、

とされる。


・同盟は「生き物」だ。
文書上の条約があるからといって安閑とし、ギブすべきことを極力減らそうとしてテイクだけを求めていたら、
時が経つにつれ互いの信頼関係を失って崩壊してしまうことは歴史が証明している。


※コメント
あらためて同盟の意義を考えてみるとなるほどと思う。
新聞では、首脳が日米同盟の確認をした、と報道されるが、
突っ込んで見てみる人は少ないのではないだろうか。
今後も、いろいろ調べたい。


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