◆小川榮太郎『「永遠の0」と日本人』を読み解く

 


※要旨


・特攻隊とは何だったのか。
重過ぎる問いである。
世界の戦史に全く例を見ない。


・特攻は十死零生である。
この言葉は「九死に一生を得る」
という成句に由来する。
言うまでもなく、
ほとんど助からぬ命を助かることを言う。


・戦争の終盤、優秀な搭乗員は次々に戦死している。
パイロットたちは、戦争の続行が困難になり始めていることは
肌身に感じられる。


・彼らは愛する家族がいる。
将来の夢がある。
だからこそ、国を護りたいのである。
だが、何ができるのか。
戦争末期の若者たちが、どれほど居たたまれない思いで、
命など捨ててやる、とにかく日本を何とかしなければという
激烈な情念を抱いていたことであろう。


・500年後、1000年後の民族再興の灯として。
特攻作戦を指揮した大西瀧治郎中将の真意を
要約すれば次のようになるであろう。
小田原参謀長の証言が元になっている。


「日本にはもはや戦争遂行能力はないが、
終戦工作は極めて困難であり、
下手をすれば内乱により亡国に拍車がかかる。
インディアンやハワイの運命を思うと、
無為のままアメリカの本土上陸を許して占領されれば、
おそるべき奴隷化政策になる可能性がある。
終戦工作のために、最後に一戦でも勝ちたい。
それには特攻しかない。
がそれでも99%勝てない。

だが勝てずとも、必死必中の特攻作戦は、
若者の国を思う至情によって陛下の御心を動かし、
終戦の御聖断が必ず下るであろう。
その民族的記憶が、500年後、1000年後の、
民族再興の灯となるはずだ」


・大西瀧治郎中将は、玉音放送の翌8月16日未明、
自らの決断と命令の下で散華した全特攻隊員の後を追い、
自決した。


・生前特攻隊員に向かい
「諸君だけを死なせはしない。自分も必ず後を追う」
と訓示した上官は多かったというが、
自決した者は少ない。
大西は生前そういう若者に媚びることは一切言わなかったという。
西郷隆盛に本当に私淑した、豪の者だった。
言い訳せず、若者の顔色など一つも見ずに
特攻の命令を下し続けたその人が、
死ぬべき時を過たず、間髪を容れず腹を切った。
しかも大西は、駆けつけた者の介錯を拒んだ。


・大西の遺書は、
全特攻隊員の遺文を受けて書かれた
熟慮と断念と若者への激しい愛借の血で書かれた絶唱である。
百遍の熟視、味読に値する。

 

※コメント
いろいろなことを考えさせられる本である。
歴史から真摯に学ぶことが、
あらためて求められる。


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