◆小谷正一『当らん・当り・当る:喝采の実証』を読み解く

 


※要旨


・福島のハワイアンセンターは蜃気楼ではない。
炭塵にまみれた町に
突然フラダンスの踊りがはしゃいだのは、
昨日今日の思いつきではなかった。


・センターのプランニングは5冊のノートに。


・4つの建物はそれぞれ2つのレストランハウス、
観光ホテル、7,000平方メートルの大ドームを持つ
『ハワイアンセンター』から成っている。


・ハワイアンセンターには、50メートルの温水プール、
ウォーター・シュート、子供用プールがあり、
さらにプールサイドには、東南アジアから移植した
高さ15メートルのココ椰子をはじめ、
600種の熱帯植物群が南国の香りを漂わせている。


・椰子の木陰には、
ハワイ原住民の建物を模した舞台が備え付けられて、
舞台を見下ろす位置には、
世界各国の雰囲気を味わえるスナック「ダイヤモンドハウス」
が五層に積み重ねている。


・聞かされて驚いたのは、
これらの建物がほとんど社長、中村豊が一人で
設計したものだということだ。
中村は昭和2年、東大の経済学部を卒業と同時に入社しているが、
建築の専門ではない。


・かつて各国各地どこを視察して歩いても、
そこの企業体の経営内容はもちろん、
建物や環境の細部にわたってびっしりメモして歩き、
さらに、アメリカや中南米などの見聞で想を練り上げ、
建築上の構想を固めたと述懐する。


・そして計画の仕上げには1週間、
日光の山荘に一人とじこもって、
これらのメモとヒントをもとにプランニングを
大学ノート5冊にまとめあげたそうである。


・そのノートには、
工事費用の積算も書き込まれていたというから、
エネルギーのたくましさには舌を巻く。
当時すでに62歳に達していたと聞いては
なおさらのことである。


・おそらく、内から噴き上げてくる創造への意欲と、
炭鉱に対する責任感と愛情とが、
彼にスーパーマン的能力を発揮させたものであろう。


・僕が感心したのは、
ハワイアンセンターの場内が清潔なことである。
行楽地やレジャー施設がおしなべて、
空き缶や屑だらけでみんなの顔をしかめさせている当節、
ここの掃除はいき届いたほうで、
気持ちがいい。


・ディズニーランドでは、食堂の仕入れや、
残飯処理の運搬車は地下にそのための通路を設けて、
お客さんの目にふれさせないように
気を配っている。


・アメリカのディズニーランドは22のアトラクションで
スタートして、現在は100に近く、
プロダクションには百数十名のアイデアマンが
知恵の増改築に当っているという。


・数年前、それらのスタッフで、
「プランナーとして幾つぐらいの年齢の者が一番冴えているか?」
と聞いてみた。
しかし、
「ズバ抜けているのはただ一人、
それは今もってウォルト・ディズニーである」
ときくのも野暮といった答えを受け取ったことがある。


・かつてウォルト・ディズニーは、
まことに心憎いこんな言葉を吐いたことがある。

「ディズニーランドはいつまでも未完のままである」

それは、世界中のレジャー施設が
噛みしめていい示唆に満ちている。

 

 

※コメント
名プロデューサーの小谷氏の唯一の著書だ。
その膨大な仕事量と実績のわりに
彼の著書はこれだけだ。
実績があるからこそ、
わざわざ本を書く必要はないと思ったのかもしれない。


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