◆田村耕太郎『君に、世界との戦い方を教えよう』を読み解く


最近、田村氏の新刊が次々と出ていて、面白い。


※要旨


・日本を変えるには、まず教育を変えるしかない。
アメリカは簡単に衰退しないと思う。
それは、「知のインフラ」が他国を圧倒しているからだ。


・アメリカの強さの土台はリーダーシップ教育にあり。
アメリカの大学の成績は就職に直結する。


・アメリカ企業の経営陣が、アメリカの大学教育を受けた人材を評価しているポイントは、
おそらく以下の3つ。

1.圧倒的な読書量。
学生は、哲学、科学、歴史と幅広い分野にわたり、大量の本や資料をとにかく徹底的に読まされる。

2.その読書量で得た豊富な知識を背景にした仮説検証訓練。

3.リーダーシップ(自己と他者を管理する能力)


・ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のある教授が私に向かって切り出した。

「コウタロー、私は日本の問題の核心がわかった気がする。
この国に来て、人々の優秀さや優しさ、団結力にすぐ気づいた。
ただ、日本の停滞の理由は、リーダーシップがどこにもないことだ。
どこにも問題の当事者がいない。
すべてが他人事なんだ。
政治家は官僚を悪者にする。
官僚は政治家のせいにする。
財界人は政治と役人が悪いという。
『俺がやってやる。俺が変えるんだ』という人間がどこにもいない」


・インドの教育界のトップに君臨するのが、インド工科大学(IIT)。
世界の理工系大学の中でナンバーワンだとされる。
IITに落ちた者がMITやハーバードに行く、といわれている。


・インドの大学の経済学部は、かなり数学を重視している。
基本的な経済数学と統計の知識を、すべて1年生の間に叩き込む。


・言いたいことを一気に言い切る英語力が必要な時代だ。
私は世界最高のシンクタンクと言われる『ランド研究所』で日本人最初の研究員を務めた。
ああいう場所にいると、いったん英語で詰まったり口ごもったりしたら、2度と話を切り出すチャンスはない。
次は誰も目も合わせてくれない。


・大事なのは「一気に通じさせること」だ。
インド訛りでもフランス訛りでも日本人のアクセントでもいい。
言いたいことを言い切る能力があればいいのだ。


・知性、見識、教養のすべてが発音に現れる。
イフ外語学院の中野正夫氏は、こういう。
「シリコンバレーで起業した私の教え子が、
『国際会議では、発音がうまい奴がスターになれる。発音がうまいだけで華になれる』と言っています。
公の場でこそ、発音は大事なのです」


・アメリカ経済復活の根底には、アメリカの教育の強さがある。
授業で求められるのは、記憶した答えを探すことではなく、答えの出し方、
つまり「考え方のフレームワーク」を提示することである。


※コメント
世界で戦うために、必要なものは何か。
この本を読むと痛いほどわかる。
彼らにできて、われわれにできないわけはない。
日々、修行に励みたい。