◆白神義夫『華僑の成功術』を読み解く


※要旨


・華僑は、地縁、血縁、業縁、人間関係を大切にする。


・「小額のお金を、粗末にする人とは付き合うなかれ」
と喝破する華僑もいる。


・華僑は信用を大事にする。
信用している人に対しては、高額でも借用書をとらずにお金を貸す。


・彼らは金(きん)に最大の信用をおいている。
それも金の延べ板が棒が最高だ。


・紹介状は札束と同じ価値がある。
人間と人間の関係を大切にするので、時間をかけて人を凝視し、試し、
残った者だけを本当の友人とする。
そして血縁、地縁で編んだネットワークを中心に、新しく知り合った人を組み込んで入れていく。


・シンガポールの中国系中流以上では、小学1年生から家庭教師をつけるのが常識。
もともと中国的発想では子どもの教育には金を惜しげもなく注ぎ込む。
ひとつの投資でもあるのだ。



・金銭感覚をみがくのも子どもの頃からで、親はまず、金というものは、借り手も貸し手も、
利子がつくことを徹底的に叩き込む。
そして家業を手伝いながら経営感覚を身につけていく。


・彼らは、親が鍛えなければ、誰が仕込む、と考えている。
たとえ親の七光りで地位や名誉を得ても、それだけで人の尊敬を得ることはできない。
親子麻雀も現金決済。


・金に清濁の区別はない。
異国にいる彼らにとって、まず大切なのは金である。


・情報は金を使って得るものなり。
無料で入ってくる情報など、たかが知れている。
金を使わなければ、大事な情報は入ってこないということを、
彼らはよく知っているのだ。


・食事こそ身体と商売の資本。
華僑は、食事を大事にするし、医食同源も華僑哲学の一つだ。


・華僑にとっては、食卓と楽しいお喋りは切り離せないもの。
彼らにとっては、パーティや会食の席はお互いに情報を交換したり、新しいニュースを得るための大切な機会でもある。
情報というものの価値を、華僑は切実に知っている。
情報一つが商売はもちろん生死にかかわることさえある。


・彼らはギャンブルの効用についてこう明言している。
「商売のカンを養うのに効用あり。人生そのものにもどこか役立つ」


・華僑仲間の団結は固い。
多くの華僑の特徴は、無一文から始めて財を築く点にある。
それには、日銭の入る仕事から始めるしかない。


・人を知り、人と会わなければ金は生まれない。
物事はすべて小さなことの積み重ね、小さいことをおろそかにして、
大成するわけがないということである。


・人間通の福富太郎さんも、
「金儲けのタネは、人と人との結びつきが運んでくれる。
だから会合・パーティには、マメに顔を出せ」
とすすめる。


・ある資本家のシンガポール在住の華僑が漏らすところによると、
『2年に1度の割りで、東京、ニューヨーク、ロンドン、香港、オーストラリアと回っている。
どこへ行っても友人がいる。
華僑には国境がない。
国家なし民族、それが華僑だ』


※コメント
どの世界でも人間関係は大事だ。
あとはそれをどれだけマメにやるか、ドライにやるかによってビジネスの方法も変わってくる。
それは地域によっていろいろなやり方があるから面白い。