「僕は辞めてもアスカさんに会いたい」

 

 

この言葉を聞いたときに

私の頭に浮かんだイメージがあった。

 

 

 

それは、

女性向け風俗には

 

 

 

・辞めても会える人

・辞めたら会えない人

 

 

 

このように

彼のお客様の中では

 

 

 

会える人と会えない人という

区別のようなものがあるのだと

初めて認識したのだ。

 

 

 

それまでは

こんな区別のようなものがあるなんて

全く知らなかったから

 

 

 

私はなんとなく

「辞めたら会える人」のほうに

認定されたような気がして

すごく嬉しいと感じた。

 

 

 

そして

彼が言った

 

 

 

「仕事の感情を超えて

 

 

男女関係の気持ちで

会うってことだよ!」

 

 

という言葉。

 

 

 

 

それまで私は

彼に対して

セラピストという感情しか

持たないようにしていたし

 

 

 

どんなに彼に魅力を感じも

私なんかが好きになっても

絶対に相手にされないと思っていたので

 

 

 

 

ひとりの男性として

好きになることは

ダメだと思っていたし

そうならないように気持ちを抑えていた。

 

 

 

綺麗で可愛い女性に

囲まれているであろう

彼を好きになって

本気で恋愛したいと思っても

私が馬鹿を見るだけだから。

 

 

 

 

その彼が・・・・

 

 

彼のほうから・・・・

 

 

 

「セラピストとしてではなく

 

 

男女の気持ちで会いたい」

 

 

 

と言ってきたのだ・・・

 

 

 

 

信じられないと思ったし

嘘かもしれないとも思った・・・・

 

 

 

 

 

でも

次の彼の一言が・・・

 

 

 

私にとっては

胸に響きすぎる一言が・・・・

 

 

 

 

私に彼の言葉を

信じ込ませた・・・

 

 

 

 

「僕は・・・・

 

 

 

絶対にうそをつかない。

 

 

 

 

風俗の男性がこんなこと言ったら

アスカさんは

きっと

この言葉は

嘘だとしか思えないと思うけど・・・・」

 

 

 

 

 

「でも、嘘じゃない。

 

 

 

僕は、アスカさんには嘘をつかない」

 

 

 

 

 

もともと私は

人の言葉とは

信じるに値すると思っていたし

 

 

 

 

嘘じゃないと言いながら

嘘をつく人がいるなんて

世の中に存在しないと思っていたので

 

 

 

 

私は

彼は本気で言ってくれているのだろうと

 

 

 

 

そうとしか思えなかった・・・・

 

 

 

 

 

 

だから

私は

段々と彼の言っている言葉が

心にしみてきて・・・・

 

 

 

 

あまりにも嬉しくて

胸の鼓動を

抑えることができなかった・・・

 

 

 

 

私は

彼は本気で言ってくれているのだと

思った瞬間から

 

 

彼に

男女の気持ちになりたいと言われ

 

 

 

嬉しすぎて

幸せすぎて

なんだかニヤニヤがとまらなくて

 

 

 

ずっと

笑いっぱなしだったと思う。

 

 

 

 

本当に幸せで

ウキウキに満ちた夕食になった。

 

 

 

 

実はその時

頭の中をかすめていた

疑問があった・・・

 

 

 

 

それは

彼が言った言葉は

 

 

「プライベートに近いかたち」

 

 

 

 

だったこと。

 

 

 

彼は、

 

 

 

「プライベートで会おう」

 

 

 

とは言わなかったことだ。

 

 

 

 

プライベートで会おう

という言葉は

 

 

完全に

セラピストと客という関係ではなく

 

 

 

男と女として

仕事を抜きにして会おうという意味だ。

 

 

 

だけどこの時

彼は

「プライベートに近いかたち」

と言った。

 

 

 

 

何となく違和感を感じていたけれど

その時

私はあまりにも嬉しかったので

 

 

 

私はそのことを

見て見ぬふりをして

 

 

 

違和感を感じつつも

その時は

幸せのほうにだけ

フォーカスしていて

 

 

 

ただただ

喜びに浸っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

本気で嬉しかった。

 

 

 

自分の人生において

こんなに嬉しい日があるなんて・・・・・

 

 

 

 

大きな幸せをかみしめていた。