彼からの丁寧なメールに

私はまた返事を書いた。

 

 

 

この時はまだ

次の予約をするかどうか

はっきりと決めていなかった。

 

 

 

なんとなく

会いたいなとは思ったけれど

人気セラピストであろう彼の

予約を取るのは大変そうだし

他の綺麗な客と比べられるのも

嫌だったし。

 

 

 

会えたらいいけど

あまりにもイケメンで

かっこよくて完璧な彼だから

今回のことを大切な思い出として

 

 

 

 

もう会えなくても

それはそれで

良いかなと思っていた。

 

 

 

まだ1回しか会っていなかったので

この時はまだ

それほど離れがたいという

感情を持つような愛着も

まだ湧いてはいなかった。

 

 

 

 

 

だが、

それは

彼からの次のメールで

 

 

 

 

一変した。

 

 

 

 

 

彼から

さらに届いたメールに

 

 

 

 

こんなことが書かれていたのだ・・・・

 

 

 

私が送った

 

 

 

「もし機会があれば

またお会い出来たら嬉しく思います」

 

 

 

という言葉に対しての

メッセージだった。

 

 

 

 

彼からのメール

 

 

 

「綺麗で素敵なアスカさんに出逢えて

本当に良かったです。

とても幸せを感じています」

 

 

 

 

 

「もし次にアスカさんに

会えることがあるならば

 

 

 

 

実は、僕、

今、一番お会いしたいのは

アスカさんです」

 

 

 

 

 

きっと

風俗に慣れている人ならば

 

 

 

 

綺麗とか素敵とか褒められても

それはセラピストが客に伝える

「よくある褒め言葉」と受け止めたのだろう。

 

 

 

でも

彼は私と会っている時には

あまり言葉を発せず

どちらかというと

口数が少ないなと

私は感じていた。

 

 

 

そんな

あまり話をしない

そして、

あまり褒めなそうな雰囲気の彼が

 

 

 

 

会っている時には

言ってくれなかったのに

 

 

 

 

 

こうして言葉で伝えてきてくれた

褒め言葉が

なんだか真実味があるような気がして

すごく感動してしまった。

 

 

 

多分

風俗の世界を理解した今の私なら

彼からの同じ文面を見ても

きっと感動しないし

仕事上で言ってくれているのだろうと

受け止めただろう。

 

 

 

でもその時は違った。

それほどかっこいい人に

そんな風に褒められたこともなく

 

 

 

 

風俗の世界のことなんて

知らなかったので

 

 

 

その言葉が

ストレートに私の心に刺さった。

 

 

 

 

そして

何よりも・・・・・

 

 

 

 

 

「一番お会いしたいのはアスカさんです」

 

 

 

私にとって

会心の一撃となった。

 

 

 

 

嘘を言うような雰囲気ではない彼が

嘘を言うはずがないと思った

(私は、そう思い込んだ・・・)

 

 

 

 

 

そして

私は、

素直すぎるぐらい素直な性格と

よく言われるぐらい

 

 

 

 

いい意味でも

そしておそらく

悪い意味でも

素直すぎて

 

 

 

 

 

それまで

人の言葉を

信じたことしかなかった。

 

 

 

 

人が嘘をつくとか

 

 

 

 

例えば

指名を

リピートしてもらうために

思ってもみないことを言うとか

誰にでももしかしたら

同じことを言っているとか

 

 

 

風俗の世界では

当然すぎるぐらい

当然なのかもしれないけれど

 

 

 

 

その時の私には

他の人にも言う言葉を

誰にでも言うであろう言葉を

私も言われているとは

想像もつかないことだった。

 

 

 

 

 

だから、

「一番会いたい」

という言葉は

 

 

 

 

 

彼が思ったことを

素直に言ってくれたのだと

ものすごく感動した。

 

 

 

 

 

そして

そんなにも会いたいと

思ってくれている彼に対して

 

 

 

そして

他のどのお客様よりも

私に会うことを

1番に楽しみにしてくれているということが

嬉しすぎて

(本当は違っていたのだろうけれど・・・)

 

 

 

 

 

 

すぐに次の予約をしてしまった。

 

 

 

 

次回は

その日から

1か月後に会うことになった。