ちょうど終了時間になった。

 

 

いわゆる普通のマッサージや指圧など

終了時間ぴったりに

サービスが終わるのが普通だ。

 

 

 

だから、イケメンも

時間ぴったりで

すぐに帰ると思った。

 

 

 

 

そして、彼も

帰る準備を整えて

今すぐにも帰るような

雰囲気だった。

 

 

 

 

 

 

 

でもなんとなく名残惜しくて

私は

 

 

「紅茶でも、飲みますか?」

 

 

 

と恐る恐る聞いた。

もうすでに

終了時間になっているので

なんとなく聞いてはいけないような

気がしたからだ。

 

 

 

そしたら彼は

嬉しそうな顔をして

 

 

 

部屋の出口に向けていた身体を

私のほうに向けなおして

 

 

 

「ありがとうございます、ぜひ」

 

 

 

とにっこり笑ってくれた。

 

 

 

多分

30分ぐらい

ゆっくりお話ししていたような気がする。

 

 

 

30分もすぎて

申し訳ないような気もした。

 

 

 

後から知ったのだが

女風は延長料金が30分から発生するので

30分長くいた場合は

延長料金を支払わなければならない。

 

 

 

でもこの時は

彼に延長料金など

一切言われなかった。

 

 

 

のんびりと

私と紅茶を飲んでくれる

彼の姿が嬉しくて

 

 

 

この30分長くいてくれたことが

なんだかとても幸せに感じた。

 

 

「私と過ごすことをきっと楽しんでくれたのだろうな」

 

 

 

そんな風に思ってしまった。

 

 

 

ただ意外だったのが

次も予約してくださいとか、

次もまた会いたいですというような

次回の話を

ほぼ言われなかったこと。

 

 

 

それは少し寂しく感じた。

 

 

 

もし私と会いたいならば

また会いたいとか

次も予約してくださいとか

言ってくれるような気がしたから。

 

 

 

でも彼は

次回のことは

ほとんど口にしなかった。

 

 

 

そして実は私も

この時はまだ次を予約するかは

決めていなかったし

なんなら

予約したくないなとも思っていた。

 

 

 

こんなにも幸せで喜びの

ひと時だったのに

 

 

 

その気持ちとは裏腹に

もう、予約しない。

私は

そんな気持ちでいたのだ。

 

 

 

 

 

でも

この終了時間が過ぎても

のんびりとお話しできた

時間が

 

 

 

とてもほっこりして

 

 

 

まるで彼から

最後に

「無料で一緒に過ごす時間」

というプレゼントを

もらったような気がしていた。

 

 

 

それはとても

私にとって

嬉しくて幸せな

余韻の時間だった。