イケメン彼が力尽きて

私の腕の中でぐったりしている。

 

 

 

こんな幸福な時間が

永遠に続けばいいと思った。

 

 

指名の終了時間が迫っていたが

ホテルは宿泊しない彼の分も

2人分予約していたので

なんならそのまま泊っていってほしいぐらいだった。

 

 

 

せめて、もう数時間

このまま一緒にいたい。

それほど温かで幸せだったから。

 

 

 

これは後から知ったのだが

女風でセラピストを指名した場合

そのセラピストの次の予約がなく

彼のスケジュールが許せば

時間延長ができるのだ。

 

 

 

だから、私も

お願いすれば

延長も可能だったのかもしれないが

初回のその日は

延長ができるなんて頭になかった。

 

 

 

 

 

イケメン彼がぐったりしながら

時計を見て

こう言った。

 

 

 

「じゃあ、シャワー浴びてきますね」

 

 

 

イケメン彼は名残惜しそうに

私の身体から離れ

洗面所に向かった。

 

 

 

 

「やっぱり、帰っちゃうんだ・・・」

 

 

 

当たり前のことだけど

それまでの時間があまりにも

幸福すぎて

ちょっと寂しかった。

 

 

 

 

でも

その日私に起きた

予想以上の快感と

快楽と

素敵な出来事の数々

 

 

 

その余韻に浸っていた私は

その寂しさよりも

何百倍の幸せを

この時はまだずっと感じていた。

 

 

 

彼がシャワーを浴びている間

イケメン彼の

体温の感覚や

これまでしてもらったことの数々の

幸福感にずっと浸っていた。

 

 

 

 

だが、どこか

シャワーの音が

寂しくも感じた。

ほんの少しだけ。

 

 

 

 

だけど

この時の私は

そんな寂しさを一瞬でかき消して

 

 

 

喜びと幸せなだった

さっきまでの時間を

何度も何度も繰り返し思い出して

ぼんやりと快の世界に

浸り続けていた。

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

洗面所の扉が開いた音がした。

 

 

 

 

シャワーを浴びた

彼が出てきた。

 

 

 

相変わらず

かっこいい・・・

 

 

 

 

 

 

この時

ぴったりちょうど

終了時間だった。

 

 

 

 

 

私はあまりにも気持ちよすぎて

没頭中は気にしていなかった。

それぐらい夢中になっていたから。

 

 

 

でも、終了してみれば

私がしたいことが全部してもらえて

気持ちよくて楽しくて

盛りだくさんの内容だったけれど

 

 

 

まるでストップウォッチで測っていたかのように

時間配分が完璧で

終了の時間まで

時計に合わせたかのように

ぴったりだった。

 

 

 

 

この時は私は没頭しすぎていて

分からなかったけれど

 

 

 

 

彼も私と同じように

快楽に没頭していると思っていたけれど

 

 

 

 

 

もしかしたら、

きっと彼は

冷静に時間を計っていたのだろうと

 

 

それは

後から分かったことだった。