セラピJから、出逢ってすぐに、予期せぬ、指へのキス・・・

 

 

 

もう、その瞬間から、私の頭はぼーっとしてしまい、まるでおとぎ話の中にいるお姫様のような気分だった。

 

 

 

私の目の前に、イケメン男性がひざまづいて、しかも、紳士に手を掴んでくれている・・・

 

 

 

こんな経験は、もしかしたら一生なかったかもしれない。それほど、私にとっては、まるで映画のワンシーンのような現実だった。

 

 

 

手に触れられて、ドキドキがさらにマックスになった。そんなときに、ドアのノックの音がした。ルームサービスの飲み物が届いたのだ。

 

 

 

私はウーロン茶、セラピJは白ワインを飲みながら、何か話をした。でも、その時に何を話したのかは、ほとんど覚えていない。それほど、緊張でいっぱいだった。

 

 

そこで、部屋に置いてあったルームサービスのメニューを手に取って、2人で夕食を選んだ。

 

 

 

私は何も食べる気にならなかった。緊張しすぎて、何ものどを通らない気持ちだった。メニューを持つ手が震えているのを、セラピJに知られないようにしているのがやっとだった。

 

 

 

2人で簡単な軽食を頼んだ。セラピJは、普通に食べるのだからやはり、その場になれなくて緊張しているのは私だけだったのだろうと今なら分かる。

 

 

 

セラピJは、私のような風俗初心者には何人も会っているだろうから、緊張している女性を目の前にすることなど、日常茶飯事なのだろう。

 

 

 

でも、そんなそぶりは一切見せず、終始落ち着いているセラピJだった。

 

 

 

食事が運ばれてきて、緊張を隠しながらも、私はちょっとだけ食べた。

 

 

 

夕食中は、お互いに自己紹介や、これまでの経験や、興味のあることなどを話したように思う。仕事の事、旅行のこと、過去の恋愛の事、今の仕事のことなど、セラピJは熱心に耳を傾けてくれた。

 

 

 

話の内容はあまり覚えていないのだが、今でも唯一はっきりと覚えていることがある。

 

 

 

セラピJは、その時に、「今の僕より年下の男性は、カッコいい人ばかりなんですよね・・・」と言った。

 

 

 


 

 

セラピJは、今の若者たちは、みなモデルのようにかっこいいと嘆いた。

 

 

 



セラピJほどかっこいい男性でも、他の男性の方がかっこいいと思うことなんてあるんだなと感じた。





「でも、人は顔や見た目だけではありませんからね・・・」





 

私は、そんな感じで答えたような記憶がある。なぜか、この時の会話が、妙に心に残った。

 

 

 

 

食事が終わった。

 

 

 

後は、次なる「性感マッサージ」が待っているだけである。

 

 

 

普通の恋人同士の様に、性的な行為をするのかどうか、迷ったり悩んだり求めたりする必要なんてない。サービスとして決まっているのだから。

 

 

 

それがあからさまなだけに、これから性的サービスを受けることに対して、どういう態度でそこにいていいのか分からなかった。食事が終わって、私は、何をしていいのかもわからなかった。

 

 

 

「シャワー、浴びますか?」

 

 

 

セラピJに言われた。さすが、セラピJは、慣れている。

 

 

 

私は、セラピJが来る前に、当然シャワーを浴びていた。綺麗な自分の姿で会いたかったからだ。でも、セラピJにそう言われて、もう一度シャワーを浴びることが礼儀のような気がした。

 

 

 

セラピJに、2人で一緒に浴びてもいいですよ、と言われたが、私にはハードルが高すぎた。無理だった。なので、一人で浴びてきます、と答えて、シャワールームに向かった。

 

 

 

シャワーを浴びながら、夢心地の自分を感じて、半ば、頭はぼーっとしていた。それぐらい、何が起きているのか、分からないぐらい、私にとっては、おとぎ話の世界の出来事が繰り広げられていた。

 

 

 

ぼーっとしながらも、これから、性的な行為が始まることに、期待感が膨らんでいたのも事実だ。あのイケメンと、これからいちゃいちゃするなんて、あまりにも日常とかけ離れすぎていて、現実味がない感じもしていた。

 

 

 

シャワーを浴び終えて、外に出た。セラピJは、相変わらず冷静だ。

 

 

 

セラピJが、シャワーを浴びてくると言って、シャワー室に入っていった。

 

 

 

シャワーの音が聞こえてくる・・・・ 緊張がマックスで、そのときに、私は何をしてセラピJのシャワーが終わるのを待っていたのか、覚えていない・・・・

 

 

 

 

 

ある程度時間が過ぎて、シャワーの止まる音がした・・・。そして、セラピJが、もうすぐ出てくるのだろうな、とそんなことを思いながら、ハラハラドキドキしていた。

 

 

 

 

 

 

ガチャ・・・

 

 

 

 

 

シャワールームの扉が開いた・・・

 

 

 

 

そこから出てきたセラピJ・・・

 

 

 

 

その姿を見た私は、再び衝撃を受けた。

 

 

 

先ほどまでは、髪型がばっちり整えられていて、おしゃれで冷静なイケメンセラピJの姿だった。

 

 

 

 

シャワールームから出てきたセラピJは、上半身裸で、バスタオルを腰に巻いていた。

 

 

 

 

髪が濡れていて、無造作になっていた。まさに、シャワー後の男の姿だった。

 

 

 

 

その姿が、雑誌で見るような光景で、あまりにも絵になるぐらいかっこよかった・・・

 

 

 

 

しかも、すでにセラピJは、上半身裸。バスタオル一枚。

 

 

 

目の前に、モデルがいるのかと思った。かっこよすぎて、眩しくて、イケメンの姿は何を見ても絵になると強く感じられた。

 

 

 

 

まるで異国の王子様のような、恋愛映画の主人公のような男性が、半分裸で目の前にいる・・・・

 

 

 

 

私の心は、すっかりとろとろに溶けてしまっていた。