女性向けの風俗初心者だった私にとって、初めて会う男性とベッドでいちゃいちゃするというのは、かなりハードルの高いことであった。

 

 

 

 

しかし、今は、女風利用によって裸になることにある意味慣れてしまい、もし初めての一般男性であっても、それほど抵抗なく、洋服を脱いで、裸を見せることができるような心境になってしまった。

 

 

 

 

しかし、セラピJに会ったとき、私は、ただ二人きりで会っただけなのに、心臓が飛び出そうなほど、恥ずかしくて、どうしていいのか分からなかった。

 

 

 

 

 

セラピJが、お部屋に入ってきて、しばらく、心臓のバクバクが、セラピに聞こえてしまうのではないかと思うほど、激しく高鳴っていた。

 

 

 

 

 

 

恥ずかしくて、それを知られたくなくて、私はクールで冷静な女を装っていた。

 

 

 

 

 

 

そうしたら、セラピJも、私を見てかなり驚いていた。

 

 

 

 

 

 

ここに来るまで、メールで何回か話していたのだが、メールで感じた私の雰囲気と、実際に会ったときの雰囲気が、全然違ったらしい。

 

 

 

 

 

 

セラピJが思っていたのは、もっと静かで、話をしなくて、暗いような女性をイメージしていたようだ。

 

 

 

 

 

 

私は、見た感じ、元気そうで明るく活発にみられることが多い。メールと実際の私とのギャップに、セラピJはとても驚いていた。

 

 

 

 

 

 

ドキドキする胸の高まりを、なんとか感じないようにしながら、2人で部屋の椅子の席に着いた。

 

 

 

 

 

 

私は、セラピストというのは、高級ホテルに招待しないとダメなのだと思っていた。今思えば、一般的に、ラブホテルで会うことが多いようなので、本当は場所はどこでもいいらしい。

 

 

 

 

 

私の勝手なイメージで、そのようなお仕事をしている男性は、高級なところに慣れているような気がして、その日は、東京都内の有名な五つ星ホテルを予約していた。

 

 

 

 

 

すぐに裸になるのが怖かったので、まずは、お部屋で夕食を食べる予定をしていた。

 

 

 

 

 

 

その前に、ウエルカムドリンクを持ってきてくれることになっていたので、ホテルルームサービス係の人に電話を掛けようと思った。

 

 

 

 

 

 

電話はベットの横に置いてあったので、私はベットの淵のところに座り、電話を掛けた。

 

 

 

 

 

 

そこで、私はウーロン茶、セラピJは、白ワインを頼んだ。

 

 

 

 

 

電話をかけ終わると、私はびっくりした。

 

 

 

 

 

なんと、私の目の前に、セラピJがひざまついているではないか・・・

 

 

 

 

しかも超イケメンの・・・・

 

 

 

 

そして、突然、私の右手を、セラピJが、掴んだ・・・

 

 

 

 

 

 

心臓の高鳴りがマックスになってしまった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男性に、突然、手を掴まれるなんて・・・

 

 

 

 

 

 

私にとっては、まるでおとぎ話のような出来事だ。

 

 

 

 

 

 

 

そして、セラピJは、その手を・・・

 

 

 

 

 

 

 

とても愛おしそうに見つめた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな風に、手を見つめられるなんて、人生で一度もないことだった。普通の男性は、彼氏だって、そんなことはしてくれない。

 

 

 

 

 

 

これがセラピストという仕事なのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

私は、そんなことを思った。

でも、心臓は、相変わらずバクバクしている。

 

 

 

 

そして、その次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

セラピJは、私の指を愛おしそうに眺めながら、ゆっくり、私の指に、キスをした・・・

 

 

 

 

「えっっ」

 

 

 

 

 

 

ビックリしすぎて、思わず声が漏れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ出逢って少ししかたっていないし、お互いにまだゆっくり話もしていないのに、いきなり指にキス・・・?!

 

 

 

 

 

 

嬉しかったけれど、実は、この時、ちょっとだけ冷めてしまった私がいた。

 

 

 

 

 

 

なぜならば、あまりにも急すぎると思ったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

内心

 

 

 

「えっ、こんなにすぐに、もう手に触れるの?!」

 

 

 

 

 

と思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、その想いとは裏腹に、手にキスなんてされたことのない私は、ただひたすらドキドキしていて、こういうことをしてくれるのがセラピストという仕事なのだろうな・・・とぼんやり思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時に、セラピJが指に触れてくれた柔らかな唇の感触は、あまりにも優しかったので、今でも忘れられない記憶となっている。