退院したらすぐにでもチニングに出かけるつもりだったんですけど、とんだ夢物語でしたよ。
50代半ばのオッサンが1ヶ月もベッドの上で過ごしたんだから、体中の筋肉が落ちちゃって釣りができる体力なんてあるハズも無いですわ
家族の夕食を作るのも、オーバー気味に言えば命がけです。
作り終わったらヘロヘロに疲れきって、私自身は30分ほど横になって回復してからでないと食べられない。
倒れる前は普通に使いこなしていた特別重いワケでもないフライパンが重くて振れないんです。
現状でもしチニングに行っても、40cmクラスのキビレが掛かったらかなり難儀して取り込まねばならないでしょう。
オマケに釣り上げたあとしばらくじっと休憩しなければ私自身の体力が続かない。
持ち帰るための処理なんて到底無理。
いち早く命を断ってあげるだけで精一杯でしょう。
先日、退院後初の外来診療に行ってきました。
私の大動脈は心臓から上に向かって首の手前でUターンするところまでが、いわゆる人工血管です。
その人工血管から脚の付根まで続く動脈は元々の天然血管なのですが、健康なのではなく脚の付根までバッサリ亀裂が入ったままだそうです。
今のところ問題はないのでそのままにしてあるけど、5年後、あるいは10年後など不具合が出ればすぐにでも再手術が必要になるそうで、定期的な経過観察が不可欠だと主治医は言うのです。
「ん〜…なんとなく不安やなぁ、常に気にしながら生きていかなアカンってのは面倒くさい話ですやんか。」
その後、医師が発した言葉に私はハッとしました。
「たしかに煩わしいと思うけど、アンタがうちに運ばれてきたときの具合を思い起こせば、アンタが今も生きているなんて奇跡やとワシは思うよ。
まだまだ死んじゃイカン人やと、神さんも認めとるんとちゃうか?」
神さんに認められたどうかは知らんけど、そういうふうに言われたら生きる気力が湧いてくるというものです。
医師という職業は、ただ患者の病気を事務的に治すだけでなく、患者に生きるチカラを与えることも重要な仕事のひとつなんだと気付きました。
入院中に私を担当してくれた若い医師も、たくさん経験を積んでこのオッサン医師のように立派な仕事をこなせるよう、頑張ってほしいと願うぽんぼしでありました。
それはそうと、
早よ釣り行きたいわぁ