「駅馬車」 1939年 96分
監督・ジョン・フォード、脚本・ダドリー・ムーア
出演・ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー
NHK-BSで放送していたので、久し振りに見直した。
狭い駅馬車内での人間模様、無法者と鉄火女との恋
アパッチの襲撃、1対3の決斗・・・・・。
映画の総てを96分の中に凝縮した、ダドリー・ムーアの完璧な脚本。
文句のつけようのない完璧な傑作です。
この映画、日本の映画人にも多くの影響を与え
色んなエピソードを残しています。
その代表格は、岡本喜八・監督。
山城新伍さんもこの映画と「荒野の決闘」の話を始めたら、
絶対に止まりません。
ユナイトの宣伝部にいた淀川長治さんが、
日本のタイトルを「駅馬車」にした事など、書き切れません。
淀川さんがいなければ「地獄の乗合馬車」という
タイトルになっていたそうです。
今回、見直しても感じた事ですが、モノクロの映画なのに
モニュメント・バレーを走る駅馬車のシーンで
空の色が鮮やかなスカイ・ブルーに感じてしまいます。
雲の形や色も、カラー映画よりも鮮やかに目に浮かびます。
自分で勝手に妄想して、空に色を付けています。
ジョン・フォードの空は間違いなく色が付いています。
何回見てもそう感じます。「荒野の決闘」も同じ感じを持ちます。
山城新伍さんも同じ気持ちになると云っていました。
ジョン・フォードの凄さは空にあると、山城さんは言っていました。
アパッチ襲撃シーンのスピード、名スタント、ヤキマ・カヌートの
信じられないスタント・シーン、1対3の決斗シーンの編集の上手さ、
映画のあらゆるテクニックがこの映画にはあります。
83年も前に作られたこの映画を超えるアクション映画は
いまだにありません。
今回も、ジョン・フォードの見事なスカイ・ブルーを堪能しました。
モニュメント・バレーを疾走する駅馬車、
心躍る爽快感は、何度見ても色褪せません。
6月に40度を超える気温を記録した日本。
8月になったらどうなるのだろう。
多治見も暑かった。