「アラバマ物語」&「スペンサーの山」アメリカの良心 | B級おもしろ映画館

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「アラバマ物語」 1962年 129分 日本公開1963年6月8日

  監督・ロバートマリガン、製作・アラン・J・パクラ、

  脚本・ホートン・フート、音楽・エルマー・バーンスタイン

  出演・グレゴリー・ペック、ロバート・デュヴァル

 

「スペンサーの山」  1963年 120分 日本公開1963年9月5日

  監督・脚本・デルマー・ディヴィス、音楽・マックス・スタイナー

  出演・ヘンリー・フォンダ、モーリン・オハラ

      ジェームス・マッカーサー、ミムジー・ファーマー

 

1963年、アメリカ映画の地味な秀作が2本公開された。

この年、「アラビアのロレンス」 「鳥」 「奇跡の人」等、

話題になり大ヒットしたアメリカ映画も多くあった。

そんな中、家庭を中心にしたこの二本の映画は、

一部の人からは絶賛されたが、ひっそりと公開され忘れ去られた。

二本ともこのブログで何度も書いているので

詳しいストーリーは省略しますが、二本とも心に残る名作です。

 

「アラバマ物語」 

大不況の1930年代、黒人に対する偏見が根強い南部の街を舞台に

暴行の罪で捕まった黒人の弁護を引き受けたために

白人たちから言われない迫害を受ける弁護士一家。

映画は、その子供の眼を通して描かれている。

モノクロの画面に映し出される、南部の田舎町の風情が

懐かしさを醸し出すように暖かな眼で描かれている。

裁判に負けて退室する弁護士に、二階で見守っていた黒人たちが

何も語らないが、その眼には弁護士に対しての感謝の証が

輝いている。座って見ていた子供に対して

「立ちなさい、弁護士さんが退室なさる」と、

声をかける黒人の凛とした声に、涙が止まらなくなる。

何年か前に、アメリカ映画の中のヒーローはという問いに対して

一番に輝いたのは、グレゴリー・ペックが演じたこの弁護士だった。

ロバート・マリガン監督、製作のアラン・J・パクラの名コンビは

「レッド・ムーン」や「サンセット物語」等の佳作を発表している。

DVDにはメイキング映像がついていて、殆どのスタッフ・キャストが

登場している。面白いのはこの映画で描かれた南部の田舎町の

人たちも出演していて、当時の事を語っている。

こちらも丁寧に作られていて、

メイキングによくあるいい加減な物ではない。

アカデミー賞では、主演男優のグレゴリー・ペック

脚色のホートン・フート、それに美術監督賞と3部門で受賞している。

名作です、文句なしの傑作です。

声高に差別問題を前面に出すわけではないが

静かな優しい画面に描かれる物語は、

見る者に多くの事を語りかけてくる素晴らしい作品です。

 

「スペンサーの山」 こちらも名作です。大好きな作品です。

ワイオミングの雄大な大自然の中に描かれる家族の物語。

ヘンリー・フォンダ、モーリン・オハラの名演もあって

忘れる事の出来ない映画です。

同じ年に二本の名画が公開され、

二番館、三番館ではこの二本の組み合わせで上映された。

神戸のビッグ映劇、大阪の戎橋劇場、京都の祇園会館

何度も上映され、その都度見に行っていました。

1963年、映画は斜陽産業と呼ばれていたが

50年以上経った今も、心に残る素晴らしい作品も多くありました。

 

多治見は34・5度。

暑いです。暑すぎます。

明日、琵琶湖で開かれるコンサートに行く予定でしたが

今日よりも暑いと聞いて、急遽中止しました。

エアコンの効いた家の中で、猫たちと引きこもっています。