アラン・ドロンの主演作を2本続けて見た。
「太陽がいっぱい」と「サムライ」。
まだ駆け出し同様のA・ドロンを主演に
ヌーベル・バーグが大手をっふって大流行のフランスで
あえて正統派のサスペンス娯楽映画を撮った、ルネ・クレマンの
満々たる自信と勇気が素晴らしい。
セミ・ドキュメンタリー・タッチで描かれる、一人の青年の犯罪。
殺した後の被害者になり済まそうとする描写などは
細部にまで徹底したリアリティで描いている。
描かれる犯人と演じているドロン自身。二つの野望や欲望が
見事に一致している。最初に見たのは16歳の時だったが
今とは時代が違って、ホモとかゲイなどと言う言葉は一般的では
なかった。そんな時、この映画のトムと道楽息子のフィリップの関係を
同性愛と指摘したのは、故・淀川長治さんただ一人だった。
後にカミングアウトした彼ですが、その当時はそんな事は知る由もなかっただけに、その意味を詳しく尋ねた記憶がある。
今回見直して見て、淀川さんの指摘通りの映像を見て
やはりとうなずく事が出来た。
徹底したリアリズムで描かれた白昼夢のような犯罪。
強烈なサスペンスに貫かれたこの作品は60年が経とうとする今も
色褪せることもなく見る事が出来る。
ヌーベル・バーグ派のカメラマンであるアンリ・ドカエを起用したり
音楽のニーロ・ロータの起用もそうだが、あらゆる人材を
100パーセント生かし切り、それまでのキャリアで築き上げた
あらゆるテクニック総動員してのルネ・クレマンの演出。
彼も映画の天才の一人かもしれない。
今もA・ドロンは「クレマンに全てを教わった。彼は全てを教えてくれた。間違いなく恩人の一人です」と語っている。
起用に応えたA・ドロンも見事です。
スピルバーグ流にいうなら「演出、カメラ、音楽、ストーリー
出演者、それに時代がピタッと合った奇跡の映画」の一本でしょう。
「サムライ」も傑作です。大好きです。
有名な右手の腕時計。このシーン何度見てもウットリします。
日曜の多治見。道路は大渋滞、ショッピング・センターや
ランチのお店は家族連れで大混雑でした。
どうしても出かける必要があったので、出て見たが用だけ済まして
早々に退散。殆ど人のいない土岐川の河川敷をノンビリ散歩。
同じ市内とは思えない静けさに、老人二人、気持の良い時間を
過ごす事が出来ました。