至福の4時間 | B級おもしろ映画館

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古い映画や映画館をこよなく愛し
なによりも面白い映画が大好きなオジサンのブログです

刈谷日劇で「モンパルナスの灯」と「冒険者たち」を見てきた。

1回目の上映前に劇場についてしまって、コーヒーでも飲もうと

思っていると、館主らしき年配のオジサンが「無料のコーヒーがあるよ」

との事。これをキッカケに色々な話を聞く事が出来た。

この番組が2週目で今日は平日なので、客は少ないとの事。

最近一番入ったのは「セッション」だった・・・。

とにかく良く喋るオジサンだった。

いい気分で上映開始。先ずは「モンパルナスの灯」

1958年のフランス映画。モノクロ・スタンダード・サイズ。

監督・ジャック・ベッケル。出演・ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ

リリー・パルマー、リノ・ヴァンチュラ。

酒、麻薬におぼれ、肺を病み36歳で燃え尽きたモディリアニの

伝記映画。繊細な作品とは全く相いれそうもない

壮絶な日々を最後の激しい恋を交えて描いている。

雨に濡れたパリの街並みの佇まいが素晴らしい効果を見せる。

ラストのR・ヴァンチュラの禿鷹のような画商が強烈過ぎる。

45年振りに劇場で見たが、素晴らしい映画です。

ここまで観客は私一人。キャパ55人の映画館を独り占めです。

ロビーに出て、再びオジサンの映画談義を楽しく聞く。

「今日はフィルム上映ではないが、来週の映画はフィルムだよ」と

映写室に入り到着しているフィルムを見せる。

映写機も2台チャンとある。

「冒険者たち」の上映が始まる。1967年、フランス映画。

監督・ロベール・アンリコ、音楽・フランソワ・ド・ルーベ

アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス共演。

タイトルが始まるり、あの音楽が流れてくるだけで涙が出そうになる。

全てが名シーン、全てが名セリフ、本当の傑作。

クライマックスのジョアンナ・シムカスの海底への葬送のシーンは

映画史上に残る素晴らしいものです。何度見ても涙がこみ上げてくる。

「お前と暮らしたいと言っていた」「この嘘つき」

ラストのこのセリフを聴くたび、号泣してしまう。

ロケの素晴らしさ、音楽、演出、主演3人の演技、全てが完璧。

抱きしめて胸にしまっておきたい作品です。

初めて見た時から今日まで、この映画に関する想い出は

沢山あります。初めての自主上映など色々ありました。

若き日のと言うには、今もまだ鮮烈な記憶が離れません。

21歳のあの日、この映画に出逢えた事を幸せに思っています。


映画が終わった時、観客は3人になっていました。

いつまでも頑張って欲しい映画館です。

「ありがとうございました、楽しかった」と言うと

映画館のオジサン、ニコッと笑顔でした。


4時間が、あっという間に過ぎていた。

映画を見てこんな気分久しぶりです。

私の住む所から刈谷市は電車を乗り継いで約一時間。

遠いですがまた行きます。オジサン良い映画を上映して下さい。

至福の4時間でした。