今回はジョン・ウィリアムズ×スピルバーグの15作目、アミスタッドを解説します。

 

アミスタッド

 

 

この作品はシリアス路線のスピルバーグ作品で、

史実であるアミスタッド号事件をベースにアフリカ人の自由への闘いを描いています。

なかなか凄惨でショッキングな出来事が描かれており、人種差別の根深さを浴びせさせられます。

 

音楽は児童コーラスをフィーチャーしたメンデ語の曲を主題とし、

アフリカ民族音楽的なコンガ、ボンゴを用いた曲、

アメリカ的な正義を描いた曲など多彩な音楽を聴くことが出来ます。

 

 

 

主な主題曲

 

この映画で聴かれる主題曲は主に3つあります。

 

まずはテーマ曲であるアフリカよ、涙を拭いて。 

この曲は児童コーラスにより主人公の母国語であるメンデ語で歌われます。

メンデ語はシエラレオネの主要言語です。

シエラレオネと言えばファミマ色の国旗が有名ですね。

この曲の歌詞は調べたんですが日本語対訳が見当たりませんでした。

有識者の方、なんて歌っているのか教えて下さい。

 

曲調ですが、とかく明るい。

全体的に暗い雰囲気が多い作品の中で希望の光のような曲となっています。

絶望的な状況の中でも明るい未来への希望を失わないアフリカ人の強さを歌っているようです。

多分ですが、歌詞もそういう事を歌っているのではないかと想像しています。

 

 

次に、主人公であるシンケのテーマ

これは暗い雰囲気の曲です。

理不尽な経緯により凄惨な状況下に置かれ、

そこから何とか脱しようとしたもののアメリカ軍に捕らえられ、

一方的な裁判に掛けられているシンケ他アフリカ人たち。

アフリカ人全体の状況を表す曲としてこのテーマ曲が映画全体に渡って流れています。

 

 

最後に正義の象徴たるアダムズのテーマ

元アメリカ大統領で、シンケたちを弁護するジョン・アダムズのテーマ曲です。

いかにもアメリカの正義といった感じの朗々としたトランペットの独奏で、

コープランド風の主題が奏されます。

誰が聴いても「あぁ、この人は正義の人なんだな」と思うような非常にわかりやすい曲なのですが、

よく聴くとこの曲シンケのテーマと表裏一体なんですよね。

シンケのテーマを長調にしたらだいたいこの曲なんですよ。

シンケもシンケの正義で闘ってますからね。

 

この辺はジョン・ウィリアムズ、さすがの曲作りです。

スター・ウォーズでも表裏一体のド名曲、ヨーダのテーマ帝国のマーチを作ってますからね。

 

  

 

楽曲解説

 

通常盤サントラを解説します。

14曲収録です。

なお、25周年の完全版サントラは41曲収録されています。

通常版サントラの収録曲順は時系列では無いです。

  

  

1.アフリカよ、涙を拭いて

先述した通り、本作のテーマ曲です。

コンサートでも演奏される事があります。

 

まず最初に女声独唱でシンケのテーマが悲しげに唄われます。

そこに子供たちのコーラスが明るくフェードインしてきます。

対比が素晴らしいです。

バックで叩かれるコンガがアフリカ色を加えています。

  

 

2.シエラ・レオーネ1839年、捕らえられたシンケ

ダークな感じの男声コーラスから始まり、シンケが捕縛された時の様子を描写しています。

アフリカ的かどうかはよくわかりませんが、民族的な笛の音も聴こえてきます。

シンケの悲痛な叫びが聴こえてくるようです。

次に聴こえてくる男声コーラスと女声コーラスはシンケのテーマです。

  

 

3.大西洋横断

大西洋を進みゆく帆船を表現するような乾いた笛のリズム。

次にアフリカ的な太鼓のリズムに乗せて女声コーラスのシンケのテーマ。

力強い鼓動に乗せて船は進んでいき、シンケのテーマは展開されていきます。 

   

 

4.シンケのテーマ

文字通りシンケのテーマです。

このままは劇中では流れないです。

ただ、あまりコンサート向きの曲ではないかと思うので、

シンプルにサントラ用の曲と捉えるのが正解かと思います。

  

 

5.郷愁

アフリカ的なパーカッションのリズムに乗せて女声独唱でシンケの故郷の様子が描かれます。

なぜかしら若干中華っぽい雰囲気が漂うメロディラインではあります。 

  

 

6.ミドル・パッセージ

何とも言えない感じの情景音楽。

やがてコーラスでシンケのテーマが聴こえてきます。 

その後もシェイカー等による前衛的な音楽が続きます。

最後に状況を打破するようなアフリカよ涙を拭いてが聴こえてきます。

希望の音楽です。

    

  

7.正義を求めて

アダムズのテーマです。  

ジョン・ウィリアムズの音楽ではお馴染み、ティム・モリソンによるトランペット独奏です。

最近のティム・モリソンは沼津で客演しがちのようですので聴きたい方は静岡へ。

沼津に知り合いが居るようです。

いかんせん、私の住む北海道からは遠いです。

 

曲は朗々と奏でられ、最後にアフリカよ涙を拭いてのパッセージが奏されて終わります。

なお、この曲はエンド・クレジットの後半部分です。

 

 

8.1839年7月4日

映画の冒頭、アミスタッド号事件が発生した日です。 

アメリカの独立記念日っていうのがまた運命を感じさせますね。

曲は静かな弦の旋律から始まります。  

夜、船員が寝静まっている中静かに反乱の兆し。

やがて律動的な弦のトゥッティが始まると、

そこに力強い男性コーラスで反乱への叫びが聴こえてきます。 

それでこの曲は終わり。 

 

  

9.アダムズの訴え  

アダムズの初登場シーンの曲です。

最初からヒロイックなトランペットの調べ。

登場から「この人は正義の人ですよ」と音楽で語ってくれてます。

分かりやすくてありがたい。

アメリカの良心みたいな曲です。

最後はやっぱりアフリカよ涙を拭いて

アダムズは最初からアフリカ人たちの代弁者でいてくれるのです。

   

  

10.アミスタッド号の記憶

アミスタッド号の凄惨な記憶がコーラングレの音色と共に呼び覚まされます。

ボールドウィンたちが船内を捜索する様子です。

途中からパーカッションの鼓動と共に過去の出来事がフラッシュバックされてきます。

悲痛なシンケのテーマが聴こえてきます。 

  

 

11.ロンボコの奴隷砦の解放

裁判の最終判決シーンから曲が始まります。

静かな旋律で判決を待つ一同。

判決、アフリカ人は自由へ。

喜びのアダムズのテーマ=正義の旋律が流れます。

 

そして場面はシエラレオネへと移動し、イギリス海軍によるロンボコ奴隷砦の強襲。

力強いアフリカよ涙を拭いて

捉えられていた奴隷たちが砦を脱出し、歓喜のアフリカよ涙を拭いてが唄われます。

感動的です。

  

  

12.アダムズの最終弁論

場面がちょっと戻り、アダムズが最終弁論をするシーン。

ティム・モリソンのトランペット独奏。

アダムズのテーマというより、アダムズの担当奏者といった様相です。

今回も最後はアフリカよ涙を拭いて

 

 

13.帰郷

シンケたちがシエラレオネへと帰郷していきます。

しかしながら故郷は様変わりしており、

妻子が待っているはずだった村は跡形もなく消滅していました。

悲しみのアフリカよ涙を拭いて

これが当時のアフリカの現実。

やるせない。

 

 

14.アフリカよ、涙を拭いて(リプリーズ)

エンド・クレジットのアフリカよ涙を拭いてです。 

エンド・クレジットくらいはアフリカの未来に希望をつなぎ、明るく歌い上げます。

金管楽器も大活躍のジョン・ウィリアムズらしい名曲です。

 

 

 

ジョン・ウィリアムズ×スピルバーグの次の作品はプライベート・ライアン

執筆済み。

その次はA.I.

これは思い入れが強い作品なのでじっくりいきたいです。

 

12月に入ったので一旦ホーム・アローンのサントラ盤解説を挟みますね。