今回からはジョン・ウィリアムズ×スピルバーグの17作目、
A.I. ARTIFICIAL INTELLIGENCEのサントラ解説をしていきます。
この作品は2001年の作品で、私にとっては非常に思い入れのある作品です。
初めて映画館で観たジョン・ウィリアムズ作品なんです。
大学2年の時分だったので映画館デビュー相当遅いですが。
映画自体も大変気に入った私は、初めて同じ映画を映画館で2回以上観るという経験もしました。
この思い入れのある作品はしっかりと解説していきます。
譜例も5譜作成しました。
このサントラでは、ジョン・ウィリアムズ作品には珍しく主題曲のボーカル・カバーが収録されています。
本編では流れませんが、御大の書いた美しいメロディが非常に親しみやすいボーカル曲として聴けるのは嬉しいです。
ちなみにJOY SOUNDで唄えます。
映画の内容ですが、元々はスタンリー・キューブリックの企画でした。
キューブリックの死後スピルバーグが引き継ぎ、
当時売れに売れていた子役ハーレイ・ジョエル・オスメント主演で撮影されました。
近年「AI」というと自動的に絵や写真、文章、映像などを生成するプログラムを想起させますが、当時はまだそういう概念は生まれていません。
この映画は感情を持ったロボットの話です。
感情というか、愛を持った子供型ロボットの話。
その愛はプログラム故に永遠なのですが、その反面愛する対象である親に棄てられても永遠に親を愛し続ける定めを持って生まれてきたのです。
その子供型ロボット、デイビットの愛を求める冒険物語です。
最後は感動的にまとまりますが、その反面非常に切ない気持ちになります。
観ていない方は是非観て欲しいです。
テーマ解説
モニカのテーマ ~For Always~
デイビットの母たる存在、モニカのテーマです。
彼はモニカに棄てられる事になるのですが、彼にとってモニカは永遠に愛する対象。
何があっても愛そのものの存在なのです。
彼は母親を愛する為にプログラムされ、造られた存在なのです。
従いまして、モニカのテーマはひたすらに愛。
本作の愛のテーマと言えます。
一片の陰りもない愛を歌い上げるテーマとして書かれていますが、
それはあくまでもデイビットから見たモニカ。
その事実が何とも非常に切ない気持ちにさせるのです。
このテーマ曲がアレンジされ、For Alwaysというボーカル曲としてサントラ収録もされています。
私は木管4重奏にアレンジしてみました。
A.I.のテーマ(ブルー・フェアリーのテーマ)
完全版サントラには「A.I.のテーマ」とタイトリングされていますが、
実際の所「ブルー・フェアリーのテーマ」であると思います。
デイビットが母親に愛されるために探し求めるブルー・フェアリー。
これはこれで愛のテーマとも言えます。
ファンタジックで少し儚げな愛のテーマです。
弦楽4重奏にアレンジしてみました。
デイビットのテーマ
主人公、デイビットのテーマです。
短めのテーマです。
冒頭のかくれんぼのシーンで使われているのが印象的ですが、
その前の初登場のシーンや、ラストの愛に包まれたシーンでも使われています。
少しロボットみのある感じのテーマ曲です。
運命のテーマ
デイビットが棄てられるシーンで流れているのが印象的で、その部分を採譜しています。
デイビットの数奇な運命を暗示するテーマとしてそれ以外の部分でも流れます。
悲劇的な響きのあるテーマです。
家族のモチーフ
タイトルだけ見ると温かみがありそうですが、全然違います。
デイビットではなく、本当の家族のモチーフなのです。
デイビットを造ったホビー教授の家族写真のシーン、
モニカの本当の子供が映っている家族写真のシーン、
そんなところで流れるのですが、非常に不穏。
それらの家族は壊れてしまっているのです。
非常に不安定で、拍子すら不安定なモチーフです。
今回の記事は以上です。
次回からはサントラ盤の解説をします。


