本日はスピルバーグ監督の名作、
プライベート・ライアンのサントラ解説をします。
この作品をこのタイミングで取り扱うのには理由があります。
今月末から(地区による)映画館で観られるんですよ。
午前十時の映画祭です。
上映期間は上映館によって2グループに分けられています。
我らが札幌シネマフロンティアをはじめとするグループAは9/27~10/10。
グループBは10/11~10/24です。
それぞれ2週間だけなので見逃さないようにしましょう!
さて、この作品はスピルバーグに2度目のアカデミー監督賞をもたらした作品です。
アカデミー作曲賞はノミネートはされています。
主演はトム・ハンクス。
Dデイから始まる第2次世界大戦中の激戦を描いているこの作品ですが、
音楽は非常に控えめかつ印象的に付けられています。
戦闘を盛り上げるような音楽の付け方では決してなく、
むしろ戦闘シーンには音楽は付いていません。
戦闘シーンで聴こえてくるのは、銃声、爆発音、叫び声、戦争のリアルです。
このアプローチは後にスピルバーグとトム・ハンクスが制作した、
バンド・オブ・ブラザースというTVシーリーズでも踏襲されております。
そちらの音楽担当はマイケル・ケイメンですが、
プライベート・ライアンを彷彿とさせる良いスコアが流れています。
残念ながらサントラはプレミアがついてて手に入りにくいですが。
プライベート・ライアンの音楽の演奏は、ボストン交響楽団です。
彼が指揮者を務めていたボストン・ポップスの母体ですね。
録音会場はボストン・シンフォニー・ホールです。
ホームグラウンドです。
曲の構成ですが、全ては情景音楽です。
テーマ曲的なものは不在です。
そして全てはスローな音楽です。
情景を描写すると言うよりは、心に訴えかけるような音楽です。
従いまして、どの曲がどこで流れているという考証は
あまり意味を成さないと思います。
考えるな、感じろ。
という部類の音楽です。
とは言え、それでは記事にならないので映画全編を確認しておきました。
曲目解説です。
曲目解説
曲順じゃなくて映画の時系列でいきますね。
1曲目以外は。
1.戦没者への賛歌
これは本映画のテーマ曲と言える曲です。
とは言っても本編では一切流れません。
エンド・クレジットで満を持して流れます。
これはジョン・ウィリアムズによる、戦争で戦った者全員に対する賛歌なのです。
曲は非常にスローな軍学調のマーチです。
スローなスネアドラムのリズムに乗せて、
叙情的なトランペットの調べが流れてきます。
次にコーラスも含んだ包み込むようなゆったりとしたコラールが響きます。
戦争から命からがら帰ってきた軍人たち。
友を失い、自らも傷つき、それでも戦った意味とは何なのか?
様々な複雑な感情を抱きつつも、故郷にゆっくりした足取りで帰る。
私にはそんな満身創痍な軍人さんの歩みが見えるような気がします。
この曲は非常に鮮烈な印象をもたらし、
先述のバンド・オブ・ブラザースを始めとして各方面に影響を与えております。
隔年でマーチをコンクール課題曲に据えていた吹奏楽界では
2003年にウィナーズというやたらスローなマーチが登場しており、
トランペット・ソロといい、アレは明らかなプライベート・ライアンでした。
2.ノルマンディへ再訪問
ここからが本編。
この曲は映画の本当に頭の文字しか写っていない画面から流れ始めます。
映像が流れ始めると、ある老人がノルマンディーの墓地を訪れます。
名はジェームズ・フランシス・ライアン。
彼は命の恩人の墓参りに来たのでした。
ホルンが静かに勇ましく奏される誇りに満ちた曲です。
3.オマハ・ビーチ
ノルマンディーに上陸したあとの連合軍の惨状。
血に染まるドーバー海峡の海と、
死屍累々としたオマハ・ビーチをバックに壮大に流れる曲です。
圧倒。
とんでもない臨場感の戦闘に圧倒されたあとに、
壮大な調べで本筋に入っていく圧倒的な音楽力。
この曲の頭の部分が映画本編内の実質的なテーマ曲となっています。
曲はその後のシーン、電報局で電報を打つシーン、
ライアン母に報告に行くシーンと一貫して流れていきます。
4.ライアン2等兵を発見
いや、発見はしてないわけですよ。
戦死者の認識票の中にライアンが居ないか探している横をライアンが通りました。
映画内では誰も気付いていないですが、
我々視聴者はマッド・デイモンの顔くらい判ります。
上記の状況を踏まえて若干コミカルな曲になっていますね。
5.敵とのアプローチ
これはね、多分流れてないです。
多分ですが、掩蔽壕のドイツ兵を倒そうとするシーンに充てられた曲で、
カットされたんじゃないかと思われます。
いや?そうなのか?そこなのか?
なんか明るい曲です。
どこの曲だ?
7.ウェイドの死
掩蔽壕打破作戦で衛生兵のウェイドが戦死。
ライアン1人を救うために犠牲者がまた1人。
さすがに暗い曲調です。
8.高校教師
ミラー大尉は高校教師である身の上を語り始めました。
そこから始まる11分の長い曲ですが、シーンは当然進んでいきます。
かように、この映画ではシーン毎に曲が付けられると言うより、
長ーく一貫して曲を付けていくというアプローチです。
2分くらいの部分のパッセージは
明らかにバンド・オブ・ブラザースでも似たフレーズを毎エピソード聴きました。
6.防御準備
2曲戻ります。
ミラー隊はライアン2等兵達が守備していた橋の防衛戦に加わることにしました。
指示されている任務外ではありますが、軍としての重要任務ではありますので、
全然宜しいのではないかと他人事としては見えます。
この曲はまさに戦闘準備って感じの曲ですね。
ジェダイの帰還のエンドアの戦いの直前の曲にも似ています。
9.最後の戦い
チキってて全然使えなかったアパムがようやく敵を撃ちました。
そこからエンド・クレジット直前までの曲です。
老ジェームズ・フランシス・ライアンが恩人ミラー大尉の墓に敬礼し、
映画は幕を閉じます。
10.戦没者への賛歌(リプリーズ)
これは1曲目と全く同じ音源です。
ピアノアレンジとかでもなく。
さすがにこのパターンは珍しいですね。
最初にも最後にも聴きたい曲なので全然これで良いと思います。
以上です。
大画面、大音量でこの映画とスコアを浴びるのは楽しみですね。
私も映画館で観たことは無いもので。
絶対見逃さないようにしなければ・・・。

