本日2月8日はジョン・ウィリアムズ御大のお誕生日です!

御大、92歳のお誕生日おめでとうございます!

 

御大ご生誕日記念に本日は丁度22年前にタイムスリップ。

御大70歳の誕生日当日に発表されたこちらを紹介します。

 

コール・オブ・ザ・チャンピオンズ

 

これはですね、

2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックの公式テーマ曲で、

ソルトレイクシティ冬季オリンピックの開会式生演奏で初披露されました。

 

そして、その開会式の日にちが2002年2月8日

まさに御大の70歳の誕生日当日でした。

あの時は70歳を迎える御老体を冬季五輪会場の寒空の下で

生演奏で指揮を振らせる所業に震えたものですが、

まさかそれから22年も現役で指揮をお振りになっているとは

思いもしなかったもので、そっちの方が驚愕です。

 

 

このアルバムには表題曲の他に、ジョン・ウィリアムズが

ボストン・ポップスの指揮者時代に作曲した小品などが収録されています。

昨年の来日コンサートでも披露された雅の鐘も収録されていますよ。

 

では、曲目紹介に入ります。

 

 

 コール・オブ・ザ・チャンピオンズ

 

先述した通り2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックの公式テーマ曲です。

印象的な3つのワードを連呼するコーラスが入っていますが、

これは近代オリンピックの父クーベルタン男爵のモットーである、

Citius(より早く)、Altius(より高く)、Fortius(より強く)の3つとなっており、

最後にウィリアムズによるClarius(明晰に)を付け加えています。

 

なお、コーラスを担当しているのはソルトレイクシティのあるユタ州にて

圧倒的な信者数を誇るモルモン教の合唱団です。

 

曲はオリンピックのテーマらしい高揚感のある曲で、

オリンピックの開会式を大いに盛り上げていました。

ジョン・ウィリアムズがオリンピックのテーマ曲を書くのは

ロサンゼルスアトランタに続く3回目です。

なお、ソウルオリンピックの中継テーマも手掛けていて、

日本においては赤坂5丁目ミニマラソンのテーマ曲としておなじみです。

 

 

 アメリカン・ジャーニー

 

これは1999年12月31日にワシントンDCで開催された、

ミレニアムを記念するイベントのために作曲された曲です。

映像はスピルバーグが監督した18分の映画となっていたようです。

はて?曲の時間を合計すると25分ありますが?

 

映像はどうにも観る方法がなさそうなのでどんな内容かは詳しくはわかりません。

しかしながら、おそらくは下記のチャプターの読んで字の如しで、

20世紀のアメリカの道のりを描いたものであったようです。

 

曲は非常にわかりやすく、THE ジョン・ウィリアムズといった様相。

それが求められていたでしょう。

また、これはおそらく意図的にだと思いますが、

各チャプター毎に何かの曲のメロディや雰囲気に似ています。

非常に大満足の合計25分の楽曲となっています。

 

 Ⅰ.移民と建設

 景気の良いファンファーレから始まります。

 これから誇りに満ちたアメリカの100年が語られようとしています。

 1900年のアメリカはまだ発展の途中。

 なんせ、バック・トゥ・ザ・フューチャーPart3で描かれた

 西部は1885年ですからね。

 このチャプターの後半は明らかに遥かなる大地へ風味です。

 あれはアイルランドからアメリカに移住して荒野を開拓する話ですから。

 アイルランド風のパッセージも聴かれ、明るい未来を予感させる曲です。

 

 Ⅱ.戦争

 アメリカにも2つの戦争が暗い影を落としました。

 この曲はなんとなくですが、7月4日に生まれての雰囲気を感じます。

 戦争という暗い時代においても力強く生きていこうといった

 決意みたいなものを感じさせる曲です。

 

 Ⅲ.ポピュラー・エンタテイメンツ

 アメリカを語るのに欠かせないものはエンターテイメント産業です。

 この100年でハリウッド映画もブロードウェイも大いなる発展を遂げました。

 この曲はレナード・バーンスタイン風味であると思います。

 ウェスト・サイド・ストーリーとかファンシー・フリーとかの

 楽しい雰囲気が感じられます。

 

 Ⅳ.アーツ・アンド・スポーツ

 映画の内容が判らないので何とも語りにくいですが、

 アート方面の芸術活動と、オリンピック等のスポーツを描いているんでしょう。

 これはあんまり似ている曲は思いつきませんが、

 曲の雰囲気とかはフックに何となく似ている気がしなくもないです。

 

 Ⅴ.市民権と女性解放運動

 自由の国アメリカにとって、

 有色人種の市民権と女性の権利は大事なファクターであるでしょう。

 この曲は明らかにアミスタッドアフリカよ、涙を拭いてに似ています。

 あれは黒人の人権についての映画ですから、完全にそのまんまです。

 未来に向かって決意をもって突き進むような感動的なメロディが展開します。

 

 Ⅵ.フライト・アンド・テクノロジー

 アメリカは世界初の有人動力飛行を達成したライト兄弟、

 そして初めて月へ降り立ったアポロ11号のクルーと

 その技術を産み出しています。

 これがアメリカの誇るべき未来に向けての資産であるでしょう。 

 誇りを持った力強いメロディが後半に向けて盛り上がっていきます。

 曲の盛り上がる感じは太陽の帝国大空のキャデラック

 似ている感じがします。

 ラストはジョン・ウィリアムズ節全開で大クレッシェンドのうちに

 曲は締められます。

 

  

 

 ソング・フォー・ワールド・ピース

 

この曲は盟友小澤征爾に捧げられた曲で、衛星放送回線を利用し、

各国を中継して同時演奏するという試みが為されました。

冒頭の4音に「へ・い・わ・を」という歌詞が充てがわれていたそうです。

これは元JWFC(ジョン・ウィリアムズ・ファン・クラブ)代表の

神尾保行氏が2002年に放送されたラジオで語っていました。

(録音してあり今でもよく聴いております)

平和を祈るような、明るい未来を祈るような、希望に満ちた感じの曲です。

 

 

 ジュビリー350

 

ボストン市の350周年を祝って1986年に書かれたファンファーレです。

当時ジョン・ウィリアムズはボストン・ポップスの常任指揮者をしております。

輝かしいファンファーレの後に勇ましいストリングスが

輝かしいボストンの350年をお祝いします。

 

ちなみに気になったのでググりましたが、

ボストン茶会事件は1773年なので、この曲が書かれた213年前でした。

全然関係ないですが。

 

 

 ミッション・テーマ(NBCニュースのテーマ)

 

NBCニュースの冒頭で流れる曲です。

今でも流れてるかどうかは知りません。

冒頭のトレモロが時の訪れを表すようで、

いかにもニュースの時間って感じの曲です。

後半は非常に勇ましいですが、

多分ですが毎回全編は流れないんじゃないかと思います。

 

ちなみに、筆者はニュースの音楽と聞いて思い出す曲は、

毎日夜10時に流れていたニュース・ステーションのピアノ曲です。

そんなくらいの世代です。

 

 

 フォー・ニューヨーク

 

レナード・バーンスタインの70歳を祝って1988年に書かれた曲。

バーンスタインの書いたオン・ザ・タウンニューヨーク・ニューヨーク

ウェスト・サイド・ストーリーアメリカをミックスしてアレンジし、

最後にハッピー・バースデイを挿入した楽しい曲です。

 

 

 雅の鐘

 

去年30年ぶりに来日した御大ですが、

その30年前に来日した頃、日本では雅子様フィーバーでした。

雅子様の婚儀を祝して、来日したボストン・ポップスの演奏で初演された曲です。

原題はSound the bells!といいます。

チャイムも叩き鳴らされる非常に華やかな曲で、

昨年の来日コンサートでも冒頭に演奏されました。

 

 

 ヒム・トゥ・ニュー・イングランド

 

ニューイングランドの美しい風景を描写したドキュメンタリー映画のために

1987年に書かれた曲です。

輝かしいファンファーレの後に抒情的な弦楽器の旋律が包み込んでくれる

曲となっています。

 

映像ありました!

 

 

 セレブレイト・ディスカバリー

 

コロンブスのアメリカ大陸発見500周年のために1990年に書かれた曲。

勇ましいファンファーレに始まり、

勇ましいホルンのマーチ風のメロディが演奏され、各楽器に展開していきます。

これもジョン・ウィリアムズらしい聴きごたえのある曲です。

 

 

 サモン・ザ・ヒーロー

 

アトランタ・オリンピックのために書かれた曲です。

ジョン・ウィリアムズ作品ではおなじみ、

ティム・モリソンのトランペット・ソロのショータイムとなっています。

これを演奏するにはトランペットのスタープレイヤーが必要になりそうです。

オリンピックのテーマ曲ですので、もちろん高揚感に満ちた盛り上がる曲です。

 

 

以上です!

 

御大、92歳のお誕生日おめでとうございます!

 

参考文献:

ジョン・ウィリアムズ―スター・ウォーズを鳴らした巨匠-神尾保行著