今週の金曜ロードショーは、ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

ハリー・ポッター・シリーズの3作目です。

当ブログで扱う以上は音楽はもちろんジョン・ウィリアムズ

今回も張り切ってサントラ解説してまいります。

 

 

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

 

 

さて、ハリー・ポッターの1作目から音楽担当をしてきた

ジョン・ウィリアムズですが、次作からは別の作曲家にバトンタッチ。

 

1作目は明るい雰囲気だったハリー・ポッター・シリーズも、

終盤に向けてどんどんダークな雰囲気に変わっていきます。

それに合わせて音楽も変化しています。

 

1作目は明快なライトモチーフの手法を用いた音楽でしたが、

2作目はやや曖昧に。

3作目ではライトモチーフは影も形もなくなりました。

 

従いまして、今作に新しく出てくるライトモチーフは無いです。

ですので今回の記事は1本完結。

 

ただし重要な新曲は2曲あります。

紹介します。

 

  

まずはダブル・トラブル

これは新学期の始まったホグワーツの大広間で学生が合唱している曲。

歌詞はシェイクスピアマクベスから引用されています。

 

曲は映画の前半、学校生活に付随して流れています。

すなわち学校生活のテーマと言ったところです。

 

原曲はバロック風の合唱曲ですが、

上の動画はサキソフォン4重奏にアレンジしてみました。

かっこよくアレンジ出来たかなと思ってます。

 

 

次は過去への窓です。

これは主に映画の後半で映画の展開に合わせて流れる曲です。

特には何のテーマって感じでもないですが、よく流れてきます。

 

以上です。

残りは単発の曲とハリー・ポッターのテーマから

今回のサントラは成り立っています。

 

 

では、楽曲解説に参ります。

曲は時系列順には並んでいないのでご注意下さい。

 

 

1.ルーモス!(ヘドウィグのテーマ)

オープニング・タイトルです。

もちろんハリー・ポッターのテーマから始まります。

メインテーマの後半はホグワーツのテーマになっています。

 

 

 

2.マージおばさんのワルツ

意地悪ばかり言うマージおばさんをハリーが風船にしてしまいました。

大きく膨らみ、空に飛んでいってしまうマージおばさんを

コミカルなワルツで描いています。

これは明らかに狙ってクラシカルなタッチで作曲されていますね。

前半はフランス風のエスプリが効いた感じ、

中盤はドイツ風の権威がある感じ、

コーダはヨハン・シュトラウスⅡ世的なのウィンナ・ワルツ風味で

作曲されているかと思います。

 

 

 

3.夜の騎士バス

ダーズリー家を去ったハリーはナイトバスに拾われます。

Night(夜)とKnight(騎士)のダブルミーニングですね。

この曲はレナード・バーンスタイン風味かと思います。

ジョン・ウィリアムズは案外直球でアメリカ的な曲って多くないと思います。

バロック風の曲が多いこのサントラではいいスパイスになっている

楽しい曲です。

 

 

 

4.列車の上の幽霊

ホグワーツ急行でディメンターの捜査行動に遭遇した時の曲です。

精気を吸い取る幽霊のような風貌のディメンターの様子を描く、

ダークな曲です。

 

 

 

5.ダブル・トラブル

これは先に述べた通りの合唱曲です。

区切りの良い楽曲として仕上がってますが、

さすがにコンサートで演奏される機会は少ないでしょう。

 

 

 

6.バックビークの飛行

ワイルドなヒッポグリフ、バックビークの背中に乗って

ハリーが湖上を飛ぶ時の曲です。

 

ジョン・ウィリアムズお得意のフライング・テーマですが、

今回のフライング・テーマはいつもと様相が違います。

いつもは低音を外し、フルートとピッコロが高い音をピロピロしてるのが

ジョン御大のフライング・テーマのお約束です。

 

ところが今回はワイルドでどっしりとしたバックビーク。

低音は外せないし、ピロピロは似合いません。

そこで曲の冒頭にずっしりと轟くパーカッションパートを入れ、

飛行と共にそれを外す事で対比的に飛行感を創出しています。

さすがです。

 

 

 

7.過去への窓

  

  

 

8.暴れ柳と雪合戦

これは全然違う2つのシーンをつなぎ合わせています。

前半は、映画中盤でハリーとハーマイオニーが

暴れ柳に捕らえられた際のアクションシーン。

前作でも登場した暴れ柳が大暴れしてます。

でも前作とロケーション違くない?

 

後半はホグズミード村でハリーが透明マントを被って

マルフォイ達に雪玉をぶつけるコミカルなシーンのコミカルな曲です。

 

 

 

9.お城の秘密

ダブル・トラブルの変奏です。

中盤にちょっとだけハリー・ポッターのテーマが流れますね。

 

後半の早いフルートのパッセージは青いちょうちょが

飛んでくるシーンです。

 

 

 

10.肖像画

グリフィンドール寮の入り口の肖像画の、

太ったレディが行方不明になってしまいました。

ダブル・トラブルのBメロが流れています。

恐るべき脱獄犯、シリウス・ブラックが校内に居ると明かされ、

ダークな曲調で曲が終わります。

 

 

 

11.ハグリッド教授

我らが森番、ハグリッドが教授に昇格しました。

楽しいハグリッドの授業を描いた曲ですが、

冒頭のアカデミックな曲調の部分は本編では流れません。

中盤以降が流れますが、ダブル・トラブルの変奏となっています。

 

 

 

12.怪物本とまね妖怪ボガート!

これは映画の最初の方の怪物本との闘争シーンと、

中盤のボガートのシーンを繋いだ曲です。

前半は怪物的でアクション的な感じ、

後半はややコミカルな感じです。

 

 

 

13.クィディッチ、3年目

おや?1作目2作目でおなじみのクィディッチのテーマが居なくなりました。

今作のクィディッチはクラシカルなフーガですね。

バッハの手法です。

少しだけダブル・トラブルも顔を出します。

最後、ハリーが上空から墜落するので、緊迫した感じで終わります。

 

 

 

14.ルーピンの変身とスキャバーズの追跡

これは色んなところの曲を繋いでいるようです。

最初は叫び屋敷からホグワーツに帰ってきて、

怪我をしているロンをハーマイオニーが労っているシーン。

ハープを基調とした穏やかな曲です。

ルーピンが変身するシーンは16曲目の狼人間です。

 

切れ目なく演奏される次の緊迫した部分は、

多分ですがシーンが編集され直してると思います。

多分狼人間に差し替わってます。

 

その次の少しコミカルな部分からはシーンが戻って、

ネズミのスキャバーズがロンの指を齧って逃げるシーン。

ロンがスキャバーズを捕まえると、そこに不吉なグリムが現れ、

ロンに襲いかかります。

ロンが穴の奥に引きずられていくアクション・スコアで曲は終わり、

本編では暴れ柳の曲へと続きます。

 

 

15.パトローナス・ライト

映画最終盤、時間を遡っているハリーが

池の向こうで精気を吸い取られている自分自身とシリウスを守るため、

エクスペクト・パトローナムを唱え、シシガミサマ 光る鹿を出すシーンに

当てられた曲だと思われますが、おそらく差し替えられています。

差し替えられた曲は20曲目に含まれています。

神々しいコーラスの入った神秘的な曲です。

 

 

 

16.狼人間

14曲目前半のあと、空に満月が現れた時の幽玄な感じから曲は始まり、

ルーピン先生が狼人間へと変身してしまう緊迫の状況を描いています。

途中曲が静まり、狼人間の物悲しい感じを描写しますが、

すぐに3人を襲い始めるので再び緊迫します。

そこに人狼のシリウス・ブラックが現れ、

激しいバトルミュージックが繰り広げられます。

突然遠くから狼の遠吠えらしき声が聞こえ、

狼人間のルーピンはそちらへ向かいます。

ハリーはシリウスを探しに池の畔に行き、曲は終わります。

 

 

 

17.バックビークを救え

ハリーとハーマイオニーは時間を遡り、

処刑される運命のバックビークを助けに向かいます。

バックビークの周りは処刑人、ハグリッド、ダンブルドア、過去の自分自身が

そこら中に居るため、静かな隠密行動となります。

従って、曲も基本的には静かで、過去の時を表すような時計のビートが

刻まれています。

刻まれているマリンバの音がとても綺麗です。

 

途中で2箇所曲が盛り上がります。

1回目のは本編で聴き当たらないので、

シーンと曲が編集されたのかも知れません。

2回目のは明確に処刑人がドテカボチャに斧を振り下ろす時です。

最後の方も映画本編では聴き取れませんでした。

 

 

 

18.過去の時間へ

ハーマイオニーとハリーが逆転時計で過去の時間に戻る時のシーンです。

チクタク音がします。

 

 

 

19.ディメンターの結集

池の畔に居るシリウスとハリーの上空にディメンターが結集し、

ぐるぐると回りだすシーンです。

緊迫のスコアの中、リゲティ風の不協和音のコーラスが入ってきます。

後半、池の対岸にパトローナス・ライトが光り、

過去への旅が壮大に流れます。

 

 

 

20.フィナーレ

ハリーがパトローナス・ライトを出す前、

ハリーとハーマイオニーが池の手前で上空のディメンターを

発見した所から曲が始まります。

リゲティ風の不協和音のコーラスがディメンターを表現しています。

その後パトローナス・ライトを出しますが、過去への窓が流れます。

15曲目には過去への窓は入ってません。

これは多分ですが、監督の意向かなんかで

過去への窓を挿入して差し替えたのだと思います。

 

シーンはやや飛んでシリウスがハリーに別れを告げるシーン。

ここで古楽風の過去への窓が流れ、

曲の盛り上がりと共にバックビークに乗ってシリウスは空へと去っていきます。

  

  

 

21.いたずら完了!

エンド・クレジット直前からの曲です。

過去2作はハリーの不思議な世界でしたが、ここで変えてきました。

おそらく次の作曲家へバトンを繋ぐに当たって、

縛りを解除したんだと思います。

 

始めに魔法のほうきのテーマ

ハリーが世界最速のほうき、

ファイアボルトに乗って空高く飛び上がります。

 

ここで映画の幕は閉じ、

いたずら完了のセリフとともにタイトルロゴが出ます。

ここでもちろんハリー・ポッターのテーマ

 

エンド・クレジットに突入すると、

まずは快活なオーケストレーションのダブル・トラブル

 

次に古楽アレンジのダブル・トラブル

 

その次は過去への旅

 

ブリッジとしてハリー・ポッターのテーマを挟み、

バックビークの飛行

壮大に奏でられます。

 

次は雪合戦

楽しかった思い出も振り返らないとね。

ハリー・ポッターのエンド・クレジットはホグワーツ1年の思い出日記ですから。

 

次に再びダブル・トラブル

今度は古楽+合唱バージョン。

 

次に夜の騎士バス

賑やかな曲です。

 

最後はマージおばさんのワルツで愉快に。

 

締めにハリー・ポッターのテーマをワンフレーズ流していたずら完了します。

 

いやぁ、盛り沢山ですねこのエンド・クレジット。

 

 

 

 

本作のサントラ解説は以上。

本サイトでのハリー・ポッターの解説も以上となります。

 

4作目以降はジョン・ウィリアムズではないので専門外につき解説下ります。

ちなみにですが、スター・ウォーズにつきましては全部専門内ですので、

番外編としてマイケル・ジアッチーノルドウィグ・ゴランソン

解説するつもりではあります。