本日は御大✕スピルバーグの2018年の作品、
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のサントラ解説をします。
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 オリジナル・サウンドトラック
公開当時さほど話題になっていた記憶は無いので
おそらく地味な部類に入ると思われる作品ですが、
スコアはとても素晴らしい出来になっています。
もちろん映画としても骨太で見ごたえのある作品になっています。
あらすじを説明すると、1971年にアメリカで政府の機密文書が流出するんですね。
それがいわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」と言われ、ベトナム戦争における
政府にとっては国民に公開されるには不都合な事が書かれている文書なんです。
トム・ハンクス演じるワシントン・ポストの編集主幹と
メリル・ストリープ演じるワシントン・ポスト社主が
その文書を記事にすべきか否か。
つまりは国に忖度すべきか報道の自由を守るべきか、
そんな熱い戦いを繰り広げるんですね。
しかも相手はニクソンですね。
そんな史実ベースの映画となっています。
ところでワシントン・ポストですが、我々吹奏楽出身者としては
ワシントン・ポストと聞くとJ・P・スーザ作曲の行進曲を連想します。
この映画では特に流れませんでした。
行進曲「ワシントン・ポスト」が流れる映画と言えば、
バック・トゥ・ザ・フューチャーでしょう。
選挙カーが爆音で流している曲ですね。
あと、インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのパレードでも
一瞬演奏されてました。
話が逸れましたが、今作の御大のスコアは珍しく2系統が混在しています。
・骨太でシンフォニックなスコア
・ラウンジミュージック
シンフォニックなスコアはジョン・ウィリアムズと言えばお馴染みですが、
ラウンジミュージックもお得意なんですね。
若い頃はそれで食べていましたからね。
若い頃の得意ジャンルを円熟を極めた筆致で作曲したものを聴けるとは、
贅沢なサントラです。
では、曲目解説。
1.ペンタゴン・ペーパーズ
映画冒頭のサスペンス・スコアですね。
ペンタゴン・ペーパーズが密かに持ち出しされます。
緊迫していますが、持ち出している本人以外は
そんな事が起こっているとは知る由も無し。
しかし当の本人は命を懸けてますから、
心臓の鼓動が聞こえるが如きビート音が聴こえてきます。
2.輪転機
このサントラは全く映画の時系列にはなっていません。
これは編集主幹が記事を載せた新聞を発行すると決断し、
輪転機が回り始める時の曲です。
新聞紙が流れる輪転機を追いかけて奏されるダイナミックなスコアです。
すなわちオーケストラと輪転機のための輪舞曲と言ったところ。
あ、これうまい表現出しちゃったかも。
文字大きくしちゃおう。
輪舞曲=ロンドね。
この曲はシンフォニックで素晴らしいですね。
少しスターウォーズ感もあります。
3.ニクソンの司令
アメリカ大統領史上最高にダークな存在、ニクソンが怒っています。
ダークなスコアになっています。
でも劇中そんなに出てくるわけではなく、曲も短いです。
4.オークルーム、1971年
非常に上質なラウンジミュージックです。
ロング・グッドバイみたい。
最後のジェダイのカント・バイトで流れていたのがロング・グッドバイです。
5.組み版
輪転機と同じメロディですね。
新聞を刷るには組み版をしなければなりません。当時は。
例の新聞を発行刷る前に組み版まで来たんですね。
発行すべきか否か、だいぶ緊迫してきました。
6.母と娘
社主である母と娘の穏やかな時を描いています。
ピアノを主体とした落ち着きのある曲です。
御大のスコアにはいつも1曲くらいこういう曲があるんですね。
サスペンス・スコアでもこういうのが落ち着くんです。
愛がありますよね。
ジュラシック・パークにもこういうパートがあって、
地味ではありますがとても良いんです。好き。
7.文書の複写
ペンタゴン・ペーパーズを流出させた人物は
最初はニューヨーク・タイムズに持ち込みましたが、
ワシントン・ポストにもリークしました。
これも緊迫のスコア。
政府を相手にやってますから、そりゃ緊迫もします。
8.トゥ・マティーニ・ランチ
これも上質なラウンジミュージック。
文字通りラウンジで流れてました。
非常に落ち着きますね。
こういうのが流れてるラウンジでマティーニとか飲みたいですね。
ウォッカマティーニをステアじゃなくシェイクでね。
9.決意の発行
文字通りです。
編集主幹が新聞の発行を決意したシーンです。
発行したら逮捕される可能性すらあります。
発行を決意するまでは逮捕の恐れと報道の自由のせめぎ合いで
サスペンス・スコアが続いていましたが、決意したらもうこっちのもの。
決意の感じられる強いスコアとなっています。
10.判決とエンド・クレジット
新聞を発行したワシントン・ポストを政府は相手取り、
刑事裁判を起こしました。
政府の機密遵守か、報道の自由か。
果たして裁判官の判決は・・・報道の自由の勝利でした。
発行をやりきって裁判にも勝った編集主幹の爽やかな気持ちが
曲に描かれています。
喜びの握手を交わすニューヨーク・タイムズとワシントン・ポスト。
報道の自由はアメリカ中を席巻し、
全米の各紙が2社の勇気と偉業を称えました。
面白くないのはニクソン。
ホワイトハウスから怒りの命令を下します。
ワシントン・ポストはホワイトハウス出禁だと。
ここでダークなメロディが顔を出します。
一方その頃ウォーターゲート・ビルに侵入者が。
ウォーターゲート事件の発生を示唆して映画は幕を閉じます。
続きはニクソンで。
こちらも御大のダークなスコアが炸裂している名品です。
曲はそのままエンド・クレジットに入り、
ワシントン・ポストの栄光を称えます。
シンフォニックあり、ラウンジありの素晴らしいサントラでした。
次作のスピルバーグとの共作はフェイブルマンズです。


