本日はご存知、ローズウッドのサントラ解説をしていきます。

 

え?ご存知ない?

 

そうですね。日本で劇場公開すらされてないですからね。

 

U-NEXTで観られますから、観てください。

 

 

サントラも廃盤なので貼るリンクもないですね。

 

マイナーサントラですが、とにかく最近観た映画なので解説させてください。

曲はね、昔からよく聴いていて大好きなサントラなんです。

 

 

作曲者は、ジョン・ウィリアムズです。

そりゃそうだ、このブログはジョン・ウィリアムズ・ファン・ブログですから。

1997年のスコアですね。

 

映画の内容ですが、凄まじいです。

これ、実話ベースなんですが、アメリカの南部の町が舞台になってます。

ローズウッドという閑静な町なんですが、黒人のコミュニティがあるんですね。

で、その隣町で白人の女性が「黒人の男に襲われた」と虚言を吐くんです。

そうすると白人の男たちが犯人探しをするんです。

で、怪しい黒人を匿おうとする黒人をリンチするんですね、正義の名の下に。

最終的には黒人を皆殺ししようとするんです。

もうローズウッド焼き討ちですよ。

で、誰も逮捕されないと。

これ、今からちょうど100年前の実話ですよ?

100年前には黒人に生まれたことが罪だったんですよ、アメリカの南部では。

 

そんな映画ですので、是非U-NEXTでご覧になって下さい。

鎮痛な気持ちに成れます。

 

 

さて、スコアですが、南部らしいカントリーミュージックゴスペル

フィーチャーしたスコアになっています。

映画の激重な内容に反して聴きやすいです。

作業用BGM、勉学のBGMとしても最適でオススメです。

 

では、曲目を解説していきます。

 

 

Rosewood

映画の冒頭、ローズウッドの町並み紹介とともに流れる曲。

ギター、ハーモニカ、フィドルをフィーチャーしたカントリーミュージック。

爽やかで陽気な南部の風景が描写されますが、後半影がかかってきます。

この町、何か影があるぞと。

 

Look Down Lord

これがこのサントラのメインの曲でしょうか。

ゴスペルの曲です。

黒人のコミュニティを象徴しています。

 

The Hounds Of Sumner

これは白人たちがローズウッドの隣町サムナーで

黒人の犯人探しをしている時の曲。

ろくでもない感じです。

口琴がビヨンビヨン鳴ってます。

 

Healing

悲しいアレンジのLook Down Lord。

迫害される黒人の悲しみです。

黒人は黒人に生まれたって事だけで迫害される。

なぜなのか。

やりきれない思いの曲です。

 

Light My Way

これもゴスペル。

黒人たちが教会に集うシーンで流れます。

Light My Way、我らの正しい道を歩もうと気持ちを確かめ合います。

我らが道です。

 

Trouble In Town

ギターの曲です。

これは事件の発端、白人女性が黒人に襲われたと虚言を吐くシーン。

もちろん黒人に襲われてなどいません。

不倫相手の白人に殴られたんです。

それを旦那にバレないように虚言を吐いたら大変な事件へと発展したんです。

ろくでもないです。

 

Aunt Sara's Death

黒人の有力者の家、ここに犯人が匿われている。犯人を出せ。

と、白人たちが押し入ろうとします。

外に出ては危ない。

ところが白人の男たちを諌めようとサラおばさんが玄関から出て語ります。

そこを暴走した一人の白人がサラを撃ち殺します。

もちろんですが暴行事件とは全く関係ないどころか容疑者ですらありません。

もう黒人であることが罪であると。

黒人に生存権などないと。

もう取り返しのつかない所まで来てしまいました。

そんな悲しみに包まれた女性独唱のLook Down Loadです。

 

After The Fire

落ち着いたピアノ曲。

襲撃の後、森に潜んで休んでいる時の曲です。

後半はホルンがメロディをなぞってます。

ここでも御大得意のホルン芸が。

 

The Town Of Sumner

サムナーの街の様子の描写ですね。

口琴がビヨンビヨン鳴ってます。

サムナーは口琴のイメージなんですね。

 

The Town Burns

ローズウッド炎上。

ろくでもないことにローズウッドは燃やし尽くされてしまいました。

悲しみのLook Down Lordです。

もう救いがないです。

 

Scrappie And Mann Bond

黒人側のヒーロー、マンとスクラッピーという黒人女性が

心を通わせる様子のやさしい曲です。

 

The Freedom Train

ローズウッドを抜け出す手段は唯一つ。

密かに汽車に乗って密かに脱出するしかない。

その事をストレートに「フリーダム!フリーダム!」と唄ってます。

 

False Accusation

「言い掛かり」です。

もう疑心暗鬼が広がっています。

 

Mann At Rosewood

外から来た流れ者の“マン”でしたが、

もはやローズウッドの“マン”になったんですね。

誰も彼をよそ者だなんて思わないし、本人も思わない。

この映画で唯一の救いがあるシーンですね。

 

Look Down Lord(Reprise and Finale)

映画の最後にこの史実は70年間沈黙され、1993年に明るみに出た。

といった事が文章で明かされます。

ローズウッドから逃げた黒人たちは再襲撃を恐れて話せなかったし、

襲撃した白人たちは自分たちの正義のつもりでしたが後ろめたい気持ちもあり、

ついぞ誰も70年間も話さず歴史の闇に埋もれていたんですね。

 

そんな事が明かされてエンド・クレジットに入ります。

やりきれない想いですが、スコアは素晴らしい。

ジョン・ウィリアムズによる黒人たちの気持ちに寄り添った

素晴らしいスコアがこれで幕を閉じます。

 

 

以上です。

映画、観る価値ありますよ!