救えなかった命 ep.2 ムササビの『ムサシ』
「あの時、もしICUがあったなら……」
このシリーズでは、ケージ型酸素室『ICU』の導入に向け現在挑戦しているクラウドファンディングに伴い、これまでたくさんの傷病野生鳥獣を保護する中で、私達が救うことの叶わなかった『彼ら』のことを少しお話させていただければと思います。
中には、読んでいてお辛くなる方もいるかもしれません。
しかし、救うことは叶わなかったけれど、懸命に生き、闘った姿をぜひ覚えていただければと思います。
そして、だからこそ私達がどれだけこのICUを切望しているのかを、少しでもご共感いただけますと幸いです。
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2022年8月20日、JWCへ一件の問い合わせが入りました。
「業務中、大学の敷地内で道路でのた打ち回っているムササビを見つけた」
造園会社の方からのご連絡で、大学の伐採作業をしている最中、道路の上で何かが転がっているのを見付け、近付いてみたらムササビだったとのことでした。
※発見者からの提供動画のスクリーンショット
ムササビは基本的に夜行性な為、日中に姿を見せることはありません。
発見者の方も実際に衝突を目撃したわけではない為、お伺いする中での状況からの推察にはなりますが、木の伐採作業などで驚いて巣穴から飛び出したところ、窓ガラスか車に衝突し、脳震盪を起こしてしまったのではないかと思われます。
すぐに治療を開始しなければいけない状況ではありましたが、場所の問題ですぐの搬送が難しく、センターに到着したのは発見から8時間ほど経過したからとなってしまいました。
搬送後、すぐに状態を確認しましたが、動画でいただいていた時より容態が悪化しており、眼振と全身の硬直と痙攣、開口呼吸が見られ、非常に危険な状態でした。
すぐさま酸素吸入を開始し処置を行いましたが、次の日の早朝、残念ながら息を引き取りました。
この時も、小さな酸素ケースの中に入れてなるべく酸素が回るようにと試行錯誤しましたが、当時所持していた酸素発生機は酸素濃度が低いものだった為、十分に酸素吸入ができていなかった可能性もあります。
あの時の『最善』は尽くしていたと思います。
しかし、もし『ICU』があればこの子、『ムサシ』は今も生きていたかもしれない。
苦しそうにギュッとタオルケットを握りこむ姿は、今でも鮮明に覚えています。
亡くなってしまった命は、もう戻りません。
過去に戻ることもできません。
だから、これからの命を救う為に。
どうか、皆様のご支援・ご助力をいただけますと幸いです。
《クラファン挑戦中
》
【資金使途】ケージ型酸素室ICUの購入と設置に伴う電気工事費用
【募集期間】10月15日(火)12:00~12月13日(金)
【目標金額】300万円
【ご支援はこちらから】
※目標額到達とならなければ全額ご返金となります
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