救えなかった命 ep.1 ホンドタヌキの『ダヤン』
「あの時、もしICUがあったなら……」
このシリーズでは、ケージ型酸素室『ICU』の導入に向け現在挑戦しているクラウドファンディングに伴い、これまでたくさんの傷病野生鳥獣を保護する中で、私達が救うことの叶わなかった『彼ら』のことを少しお話させていただければと思います。
中には、読んでいてお辛くなる方もいるかもしれません。
しかし、救うことは叶わなかったけれど、懸命に生き、闘った姿をぜひ覚えていただければと思います。
そして、だからこそ私達がどれだけこのICUを切望しているのかを、少しでもご共感いただけますと幸いです。
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当団体は未だ認知度も低い民間のNPOではありますが、それでも今年、2024年度は10月までにすでに87件の保護のご相談、お問い合せをいただいています。
中には、搬送の手配をしていたり、様子を見ているうちに息を引き取ってしまうケースも少なくはありません。
野生動物たちは、基本的に人を恐れ、稀に近寄ってくることがあっても、簡単には触れさせません。
たとえ怪我をしていても、一層神経をとがらせ、たいていは人目はもちろん、他の動物たちからも必死で隠れて自分で傷を癒そうとします。
動けずにいる子を保護した、とご相談をいただく動物たちは、痛みと恐怖の中、逃げることもできず人間に身を任せるしかないほど、重篤な状態であることがほとんどなのです。
特に交通事故は、外見的な損傷だけでなく、肺挫傷など内臓にもダメージがあるケースも多く、3日~1週間は予断を許さない状況も続き、肺機能の低下やストレス、ショック状態による低血圧で酸素も十分取り込めないこともあります。
2023年3月、道端で動けずにいたところを保護されたタヌキの『ダヤン』は、センターへ到着時、吐血、発熱、チアノーゼも見られたため、急遽氷枕で冷却処置、酸素吸入、座薬で解熱剤投与、点滴も行いました。
遠方からの長距離搬送になり、搬送中のストレスにも十分配慮しながらの来所ではありましたが、後肢麻痺も見られ、脊髄損傷等による身体機能の低下から体温調節もままならず、発熱と低体温を繰り返していました。
幸い1時間ほどで落ち着いてきてくれたのですが、少し意識がはっきりしてくると、今度は酸素マスクやチューブも彼にとって怪しいものでしかなく、顔を背けてはまた具合が悪くなり、こちらもあの手この手で目に留まらない位置にチューブを設置したりと、いたちごっこが続きました。
翌日には起き上がれないまでも、療法食のスープも舐めてくれるようになったのですが、翌々日の早朝、開口呼吸が始まり、スタッフが見守る中息を引き取りました。
この日(2023年3月24日)は、3月としては東京都で10年ぶりの夏日とされるほどの気温で、前線の影響や前日との気温差もあり、健康な人でもだるさを感じる気候でした。
苦しい中でひとつずつ、危機を脱してくれた『ダヤン』でしたが、気圧の変化はつらかったのかもしれません。
こんなとき、気圧や温度を調整できるICUがあれば、と、やはり悔しさは拭えません。
確かに、野生動物の治療には贅沢な医療機器なのかもしれません。
ですが、この『峠』を抜けさえすれば命を繋ぐことができるかもしれない、という場面にたくさん出くわしているからこそ、諦めきれない想いがあります。
命は、一つしかありませんから。
叶うことならば、未来の命の為にICUの設置を願うばかりです。
再三のお願いにはなってしまいますが、ご共感いただけましたら、ぜひご支援、拡散のご協力をお願いします。
《クラファン挑戦中
》
【資金使途】ケージ型酸素室ICUの購入と設置に伴う電気工事費用
【募集期間】10月15日(火)12:00~12月13日(金)
【目標金額】300万円
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※目標額到達とならなければ全額ご返金となります
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一羽でも、一頭でも多くの命を救えるよう、ご協力いただけますと幸いです。