【保護情報と訃報】カルガモのヒナ | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは。

室中です。

 

早速ですが、今回は残念なご報告があります。

先日、カルガモのヒナが保護されてきましたが、受け入れの翌日に亡くなりました。

 

朝、電話が入り、『職場の駐車場にカルガモのヒナが一羽だけでいたので保護したが、どうすればいいか』とのご相談をいただきました。

本来なら親と一緒にいる事もご存知で、周囲も探してみたものの、時間が経っても近くに親も他のヒナの気配もなく止むなく保護に至ったとの事です。

 

急遽病院に連れて来ていただき、体重を測ったところ、僅か30gほどしかなく、生まれてからまだ5日も経っていないだろうと思われました。

生まれたばかりのヒナは、非常に神経質で、親と離れたストレスや環境の変化、人間の手に渡ったことによる恐怖などからすぐに容体が急変してしまう恐れがあります。

特に、本来兄弟と共に母鳥の後にピッタリと連なるカルガモのヒナにとって、1羽になってしまった際のストレスは非常に大きいのです。

 

加えて、保護された日はひどい雨が降り続いていて、気圧も非常に不安定だったことも不安材料でした。

 

診察後は、急いでさとやま保護センターへと移動させ、酸素室に入れて保温しました。

 

 

少しして、水鳥の餌と水を用意しても一切食べる様子がなく、ただただケースの中で鳴き続けていました。

 

ヒナの時期、親から餌をもらって育つ鳥は、比較的、強制給餌も受け入れますが、孵化後から自食をする早成性の鳥類であるカモの場合、誤嚥を起こす危険性が非常に高く、またカテーテル挿管での給餌も大きなストレスをかけてしまうため、少しでも自分で食べてくれることを願うしかありませんでした。

 

しかし、一切自分で食べようとせず、口元へ水に浸した餌を持っていって少しずつでも食べてもらおうと、付きっきりで世話にあたり、酸素吸入も行っていましたが、翌日の夜に静かに息を引き取りました。

 



親や兄弟とはぐれてしまったことで、相当心細かったことと思います。

また、体重も軽かったことから元々虚弱な子であった可能性もあり、母鳥や兄弟たちについていくことができなかったのかもしれません。こうした迷子の子ガモは、そのストレスから当日のうちに亡くなってしまう子も多いのですが、辛い気候の中、次の日までよく耐えてくれました。

 

小さな亡骸は、センターの庭に埋めています。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

《JWCからのお願い》

この時期、ほとんどの哺乳類・鳥類は子育てを行います。

その為、ヒナや幼獣の近くには、親がいることが大半です。

結果的に親子を引き離す結果となってしまう可能性があるので、見つけたとしてもすぐに保護しないで、離れた場所で様子を見てあげてください。

 

 

 

お母さんと兄弟とはぐれて、怖かったし寂しかったよね。

最後までよく頑張ったね。

生まれ変わったら、お母さんとはぐれず、立派に成長するんだよ。


 

《クラウドファンディング概要》

【傷付いた野生動物達を救う。運動場を増設し適切なリハビリケアの実現へ】


目的:ウッドデッキの転落防止補強工事など

第二目標:700万円

募集期間:7月28日(金)23時


 

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※JWCは皆様のご寄付・ご支援により活動を行なっております。

一羽でも、一頭でも多くの命を救えるよう、ご協力いただけますと幸いです。