2013年9月6日から9日まで第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会が岡山理科大学で開催されました。
毎年9月ごろ開かれる哺乳類学会では、多くの研究者や大学の教授、学生が自作のスライドやポスターを使って研究成果の発表を行います。
霊長類学会も加わった2013年度の発表内容は、おもにクマやシカ、ニホンザルなど日本に生息する野生動物の生態や行動、保全・保護に関することでしたが、動物園の飼育動物や海外の野生動物の研究も見ることができました。大会中は毎日発表がおこなわれ、3日目には一般の方向けに無料で公開シンポジウムも開かれました。公開シンポジウム以外のミニシンポジウムや口頭発表、ポスター発表などは登録者のみ見ることができます。人気の講演は立ち見をする人が出る程ですが、それでもいっぱいの時は中に入れないこともありました。ポスターを使った研究発表は常に展示してありましたが、発表者に直接話が聞けるコアタイムが1時間ほどあり、その時間はポスター会場が人で溢れかえっていました。
今回口頭発表では、農業被害を起こすアライグマやニホンザルの対策として用いられる追い払い犬の話を中心に聞いてきました。被害を起こし捕獲された野生動物などはたいてい殺されてしまうのですが、家庭でペットとして飼われている犬を訓練して追い払いに用いれば、作物被害が減るだけでなく野生動物側も学習して人里に現れる頻度が減るという内容でした。野生動物と人との問題がニュース等で取り上げられることが多くなってきているなか、私達に身近なペットが問題解決の手助けをしてくれるという希望が見えた気がしました。このような研究成果が全国のサル被害問題の解決に活用されるようになり、サルが殺されるような事件が減ってほしいと思います。
学会は日本の動物たちにいま何がおこっているのか実際に調査している研究者から話が聞ける貴重な場です。
来年の日本哺乳類学会は京都大学で開催される予定ですので、是非参加してみてください。
今回の大会の詳細は以下の大会HPリンクをご覧下さい。大会のプログラムも一部公開しています。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学界2013年度合同大会 http://www.zool.ous.ac.jp/~mpj2013/
2013年9月10日
JWCスタッフ 山本詩織