長年オンラインで英語を教えていた生徒さんから、「しばらくレッスンをお休みしたい」と告げられた。 理由は、「先日先生に勧めていただいたChatGPTが、ものすごく良かったから」。
ついにAIに仕事を奪われたのか? いや、実はそうとも言い切れない。
彼女は70代の主婦。私が昔、某英会話スクールでアルバイト講師をしていた頃からの付き合いだ。外国人と接する機会も、海外旅行に行く予定もない。それでも「何か頭を使う趣味を持たないと」と、40分10,000円のプライベートレッスンに何年も通い続けてくれていた。
スクールにはネイティブを含め多くの講師がいたが、彼女はいつも私を指名した。他の先生ではどうしても合わないのだという。私が独立した際も、彼女はそのまま私の小さな語学学校の生徒になってくれた。
ただ、彼女は少し繊細な性格で、想定外の事態への対処が苦手だった。理解できないことがあると、画面の向こうでパニックになってしまうことも珍しくない。 語学講師は単に言葉を教えるだけでなく、時に「メンタルコーチ」としての役割も求められる。この手の生徒さんのレッスンには、相応のエネルギーが必要だ。
20年前の私には、それを受け止めるだけの余力があった。けれど、今は違う。だからこそ、私は彼女にChatGPTを紹介したのだ。質問の仕方や、解説の引き出し方も含めて手ほどきをした上で。
結果、彼女はAIを大いに気に入り、「しばらくはChatGPTと勉強したい」と言ってくれた。それを聞いた私は、寂しさよりも正直、ホッとしてしまったのだ。
もちろん、他の生徒さんたちは日常的にAIを使いこなしながら、私のレッスンも継続してくれている。だからといって安泰ではない。気を抜いていい加減なレッスンをすれば、すぐにAIに取って代わられるという危機感はある。 「AIにはできないことは何か?」「生身の人間だからこそ、伝えられることはないか?」私は常に自問自答している。
幸い、私にはChatGPT、Claude、Geminiという強力な味方がいる。「AIにできないことは何か?」とAI自身に尋ねるのは滑稽かもしれないが、”彼ら”は私の優秀な「アシスタント講師」として、今日も活躍してくれている。
追記:実は今回初めて、自分で書いたブログをAI(ChatGPT)に”精錬”してもらった。すると途端に味気ない文章になってしまった。なるほど正確ではあるが、これでは面白みに欠ける。やはりまだまだAIには任せられない。