映像翻訳ディレクターとして② | 学ぶ!働く!夢のLA Life

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字幕や吹き替えを手掛ける映像翻訳者が、
8年過ごしたLAに思いを馳せながら綴る徒然ブログ。

「なぜ英語を訳したとたんに

普段は書かないような変な日本語になるの?」とえー?

番組ディレクターに聞かれ、返す言葉もなかった私たち。

 

ーーー番組を見ている視聴者は、

「これは海外の翻訳モノだから

ちょっと日本語がおかしくても仕方ないよね」

なんて思いながら見てはくれません。

ほかの日本のチャンネルと同じ感覚で見ているんです。

 

皆さんは家でテレビを見ている時、真剣に見てますか?

みんな何かをしながら、なんとなく見てるでしょ?

しかも、視聴者は常に「受け身」。

一生懸命、理解しようとして、テレビを見てはいません。

わかりにくい表現があったり、意味不明な言葉があれば

理解しようとしてくれるのではなく、チャンネルを変えるんですーーーー

 

こんな趣旨のことを言われました。

今は当たり前と思っていることですが

当時は目から鱗でした。びっくり

 

「読めない字幕は、画面上のゴミです」ガーン

 

とも言われました。

高いお金を出して買った映像の下部をつぶしてまで

字幕を表示しているんだから、意味のある字幕でないとダメだと。

意味不明な字幕なら、ないほうがマシだということでした。ガーン

 

私たち翻訳者は原文を読み、調べ物をしまくっているので

内容をバッチリ理解してしまっているわけですが

視聴者にとっては初めて見聞きする内容。

しかも字幕は4秒ほどしか表示されず

巻き戻して見ることもできないので

一読で理解できることが必須条件になります。

 

また、原文の情報をあまり省略せずに視聴者に届けたい、

英語のニュアンスをできるだけ残したい、と欲張るがために

どうしても文字数オーバー&翻訳調になりがちです。

私たち翻訳者は、どうしても字幕にばかり目が行きがちですが

字幕はあくまで、映像を楽しむための補助的なもの。

主役になってはいけないのです。

 

字幕のルールなど基本的なことは分かっていたつもりでしたが

本当の意味では理解してなかったなと痛感。ぐすん

本来は長い時間をかけ自分で学んでいくようなことを、

厳しくもストレートに教えてくれたそのディレクターの方には

とても感謝しています。ニコ

 

(続く)

 

 

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