踊りを観た。

観た時にはもう消えていた。

いつもそうだ。

消えてゆく一瞬によってダンスの舞台は出来ている。

さびしくもあるが、そここそいいところかもしれない。

と思う。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。

見知らぬ身振りが消えてゆく。

時間と一緒に消えてゆく。

消えていく身振りを見つめている。

身振りが消えてゆくから、

それを見つめていた網膜は何かを生み出し始めるのだ。

脳の中に、まだない世界が呼吸を始めるのだ。

 

(テキスト=櫻井郁也、次回作稽古日記から 2019.)

 

 

▶新作公演=2019年 11/9〜10(土日)に決定