ソロ公演から数日、心身の状態が元に戻りつつあり、そして、日々いただくご感想を読ませていただいています。スタッフとも、現場の反省会とは別に、すこしまたすこし個人として、言葉を交わすことが始まっています。クラスでもぜひ声をかけてください。
この、舞台直後の言葉や表情やいろいろのやりとりが、僕の場合は非常に貴重な、次への力になります。自分のうごきを記録映像で見ることは出来ますが、そこに生じていた「場」というのは、なかなか記録では経験できにくいです。それはまさに「経験」というしかないもので、それはダンサーとスタッフと観客と空間と現場時間とそれから、、、という様々な人や物事の連続性のなかで生じていて、ダンスはそれら全部でようやくダンスなのだと僕は感じています。ダンサーの身体はもちろん、舞台そのもの、現場そのものが、身体の連続性によって成り立っていると思います。
だから実際に本番の客席にすわって体験する人にしかわからないものが、ダンスの舞台には沢山沢山あり、そこで感じる、というのは視聴覚だけでなく、すごく多面的で動的で複雑で個性的な出来事なのだなあということを、思います。そして舞台は、何よりも身体と身体のあいだに起きるヴァイブレーションやグルーヴの体験だということを、今回の舞台をへて、あらためて、非常に強く感じています。
今回の本番では、2日間2ステージ、その一回一回がその場でしか出来ない、まさに一回一回だったと実感しました。しかしそれは、その瞬間だけのものではなく、何ヶ月も前から堆積したものあってゆえの瞬間だったので、いま、この期間にどのような反芻をおこなうか、どのような会話をするか、どのような時の過ごし方をするか、もうすでに。そこから次が始まると思っています。
そして、あたりまえと言われるかもしれませんが、次の舞台をするためには命を活かして生きていなければ出来ませんし、ただ生かされて生きているのではなくて何かしらを生む力を生き、できるならば生まれ変わってゆくように生きたいものだとも欲を張ってしまいますし、自分で思うことと他者の感性を通じたこととの双方がないと新しく生まれ変わっていきにくいと感じています。つねに揺さぶりをかけ、ここから何かを起こしてゆけたらと思います。どうぞ、みなさま、これからまた、よろしくお願いします。(櫻井郁也)