樹。あの日からしばらくして、東京に沢山の雨が降った頃だったが、しきりに樹を見るようになっていた。
樹には命のバトンタッチが見える。
宇宙というものがあるならば、それは樹木の形をしているのではないかしら。
なぜかそう思うようになった。なぜなのだろう。
この地上で立つことを、いま息をするそのことを、いかに大事にしてきただろうか。
樹が、そんなことを私に問いかけてくるように思うようにもなった。
いや、いまも、思う日が、しだいに多くなっている。
ひとつの樹のように、根を張って、空に葉を、光に花を、手向けることが出来ているかどうか、、、。
からだの、なかに、そとに、問は積もっている。