まっ赤な目隠しの少女がこちらに向けて射撃する。撃たれてみたい人もいるかも、なんて、、、。
こういうのちょっと好きだ。小説家のアラン・ロブ・グリエ(『嫉妬』『消しゴム』など)が監督した映画がたしか6本だったか、いま観れる。最初に書いたのは、このトレイラーの1カット。

亡くなって10年ほどか、この人の映画をいまスクリーンで観れるのは、たぶんラッキーだと思う。と言っても、僕がこの人の関わった映画で観たことがあるのは2本だけだ。
ひとつは脚本を書いた「去年マリエンバートで」監督はレネ。ご存知の名作。映画館で観てすぐに大学でも観せられ、助監督のバイトをしてた頃に先輩から何回か忘れたが、、、。しかしそのたび興奮したのはオルガン音楽だの硬質な画だのよりも何よりも、出ている女の人がえらくカッコ良かったからに他ならない。

もうひとつは「囚われの美女」。こちらは、もっと溜め息が出た。
グリエの監督作で、今回も観れる。スクリーンで一度だけ観たのが20年ちかく前、それ以来の公開かもしれない。一度しか観てないがこの「囚われの美女」は、観たまんま、頭の内部にファイリングされている。
主役の女の人がバイクに乗って疾走している。全身、革。金髪だ。またしても美貌。バイクは濡れたように光っている。エロチックな機械に人形が乗って高速で突っ走っている。あちこちに散乱する美貌が頭痛や目眩のもとになる感じもあった。



検索すれば出てくるように、一応ドラマだし、いちおうサスペンスみたいな話の筋があるが、何も辻褄なんか合わない。意味も追えない。似たものがあるとすれば、たぶん夢、あるいは迷路だ。目に見えるいろんなものごとや出来事に関連をつけようとすればするほど、ナンセンスになってゆく。状況を理解しようとするうちに時間がどんどん経ってしまう、ということは、これは限りなく現実に近いのかもしれない、なんて、、、。
デューク・エリントンの音楽や、ルネ・マグリットの絵が引用されている。彷徨うことが好きなら、おススメ。ほかは全部初公開とのこと、『快楽の漸進的横滑り』は楽しみ。→トレイラー

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