ふと思い出したことがある。
伝統とは伝燈であった。という言葉である。

旅先でぼさっとテレビを眺めていたら、あれはたしか竹本織太夫氏だったと思うが、出ていらして、
あれこれ楽しいお話のなかで、たしかそう言われたのを、もうだいぶ前だが、覚えている。

伝統と伝燈、その文字ひとつの違いは大変な違いと思ったが、
ともしびを伝える、ということなのだと話されていた。
そういう記録があるということなのか、氏がそのように解釈されている、ということなのか、ということは聞き逃してしまったが、いづれにしてもこの言葉はうなづける言葉だったのは確かだ。
伝統、と言われると、僕にはちょっと逃げ出したくなるけれど、
伝燈、と言われると、なんだか魅力を感じる。

僕の場合は「でんとう」という言葉と程遠いところにいるが、それでも、
この、ともしびを伝える、という気持はとても粋なものに思えて共感がしきりに湧く。
舞台とか劇場というのは、やはりそのようなことにかかわる場所でありたいと非常に思う。

すこし別のことだが、
聖書の編纂からはずされた外典というもののなかに、
本当のことを知りたければ劇場に行くべきだ、という記述があるのもまた思い出した。
劇場では言葉で、歌で、踊りで、あらゆる感情が放たれる。
そのなかに身をゆだねていると、胸の中で何かが始まる。
色んな建前やしきたりから離れて、自由な気持に戻ってゆくことができる。
新しい感覚や考えに結びつくこともある。

昔の人は、すごい場所をつくったものだと思う。


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