からだ、と言っても僕らの生体とは違う、しかし確かにそれも「からだ」と実感せざるを得ない経験を、僕は時折、彫刻から、もらう。彫刻はもちろん創作物だが、それを虚構に感じないものに、ときに出会う。
佐藤忠良氏の彫刻に、もしかしたらこのブロンズには本当に心が入り込んであるのかもしれない、と、怖くなったことがあった。
そして、その彫刻は夜中の夢にも出てきたことが、あった。
いったい、何がどうなって金属があのようになるのだろうか。物質には僕らが分からないだけで本当は感情や感覚が埋め込まれて眠っているのが、彫刻という姿を得て、目を覚ますのだろうか。あるいは彫刻家という人の手から何か目に見えない血液みたいなものが、のりうつるのだろうか。
そのようなコトを考えていると、ふと、思い出した。それは、室生でお坊さまが、秘仏の前で、このほとけさまのおすがたはあまりにも強すぎるから、それで普段はお隠れになっていられるのだと、誰かとお話ししているのを耳にはさんだこと。これも、やはり彫刻のことだ。

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ステージ※次回公演は、7月29日(土)〜30日(日)に行います。

レッスン※5月は5日(金)から開講します。