見逃したくない!と思う展覧会が今年も続々とありそうです。
そのなかで、これは凄いかも、という二つ。とりあえず。
東京国立博物館が「運慶展」を、これは秋。それに先行して、春には奈良国立博物館が「快慶展」をやると知り、いまから浮き足立っております。
まだ情報は少ないですが両方とも大規模なものになるらしいのです。
コレは二つのチラシ。


ところで。
運慶と快慶の作品は、もちろん彫刻なのだが、まるで生きた人間より生きていて、まるで永遠のダンスが停止しているみたいなか僕には見えてしまうのです。
動と静の極みのように対象的な二人ですが、運慶も快慶も、本物の前に立つと、ものすごいエネルギーが押し寄せてきます。
〈 「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿のみと槌つちの力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。〉
これは夏目漱石の夢十夜の一部。夢に運慶が出てくるくだり。
昨夜の記事に、すこし「お水取り」のことなど書きましたけれど、運慶と快慶と言えば、東大寺の南大門に立っている仁王様を思い出します。
それは8メートル半もある巨像。
南大門は僕の通学路に接していて門前では祖母が一時期働いていた店もあり幼時からほとんど毎日、仁王様を見ていましたが、毎朝毎晩、その形相は変化して見えて、底知れない激しいチカラに睨み据えられているようでした。
しかし、ただ怒っているのではなくて、人のケチとか小賢しさとかヤキモチのような心の卑しさへの憤怒であるようでもあり、世の中に起こる競争や戦争や騙くらかしへの激怒でもあるようで、弱気になるときはかえって励ましてくれるような怒りがその全身から、はみ出しているのです。
世界のはじまりの「阿・あ」の姿、世界の終わりの「吽・うん」の姿が、激しいチカラで対向している。
そのアルファとオメガの極を、彫刻家として対極の天才と呼ばれた運慶と快慶の二人が、制作チームの中心的存在として協同したのですから、やはり味わいも只ならぬ複雑さです。
人が何かをつくる力はとんでもない奇跡を出現すると思います。
いや、あれはつくるなんて言うのではない、森羅万象から生命のかたちを読み取るのだ、
というのが先程の漱石の文章か。
たしかに本物の前では、そんな気がします。
奈良の「快慶」展、東京の「運慶」展、
どんな作品が計画されているのか、実に楽しみです。
「快慶展」 奈良国立博物館 2017年4月8日(土)~ 6月4日(日)
「運慶展」 東京国立博物館 2017年9月26日(火)~11月26日(日)
とのこと。
そのなかで、これは凄いかも、という二つ。とりあえず。
東京国立博物館が「運慶展」を、これは秋。それに先行して、春には奈良国立博物館が「快慶展」をやると知り、いまから浮き足立っております。
まだ情報は少ないですが両方とも大規模なものになるらしいのです。
コレは二つのチラシ。


ところで。
運慶と快慶の作品は、もちろん彫刻なのだが、まるで生きた人間より生きていて、まるで永遠のダンスが停止しているみたいなか僕には見えてしまうのです。
動と静の極みのように対象的な二人ですが、運慶も快慶も、本物の前に立つと、ものすごいエネルギーが押し寄せてきます。
〈 「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿のみと槌つちの力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。〉
これは夏目漱石の夢十夜の一部。夢に運慶が出てくるくだり。
昨夜の記事に、すこし「お水取り」のことなど書きましたけれど、運慶と快慶と言えば、東大寺の南大門に立っている仁王様を思い出します。
それは8メートル半もある巨像。
南大門は僕の通学路に接していて門前では祖母が一時期働いていた店もあり幼時からほとんど毎日、仁王様を見ていましたが、毎朝毎晩、その形相は変化して見えて、底知れない激しいチカラに睨み据えられているようでした。
しかし、ただ怒っているのではなくて、人のケチとか小賢しさとかヤキモチのような心の卑しさへの憤怒であるようでもあり、世の中に起こる競争や戦争や騙くらかしへの激怒でもあるようで、弱気になるときはかえって励ましてくれるような怒りがその全身から、はみ出しているのです。
世界のはじまりの「阿・あ」の姿、世界の終わりの「吽・うん」の姿が、激しいチカラで対向している。
そのアルファとオメガの極を、彫刻家として対極の天才と呼ばれた運慶と快慶の二人が、制作チームの中心的存在として協同したのですから、やはり味わいも只ならぬ複雑さです。
人が何かをつくる力はとんでもない奇跡を出現すると思います。
いや、あれはつくるなんて言うのではない、森羅万象から生命のかたちを読み取るのだ、
というのが先程の漱石の文章か。
たしかに本物の前では、そんな気がします。
奈良の「快慶」展、東京の「運慶」展、
どんな作品が計画されているのか、実に楽しみです。
「快慶展」 奈良国立博物館 2017年4月8日(土)~ 6月4日(日)
「運慶展」 東京国立博物館 2017年9月26日(火)~11月26日(日)
とのこと。