12月23日は東京裁判で死刑宣告を受けた七名の人が処刑された日でもあった。1948年。
ある年配者と話していて話題になり、あの東京裁判に関して未だ思い複雑と言われたが、僕など何をか私見を持つにはとても至らない。
有名なインドのパル判事による無罪主張(中公文庫にて読める)、ウェッブ裁判長自身による意見書はじめ、様々な疑問符を今に残す。
安倍首相は2013年3月12日の衆院予算委員会で「先の大戦においての総括というのは、日本人自身の手によることではなくて、東京裁判という、言わば連合国側の勝者の判断によって、その断罪がなされたということなんだろうと思う」と発言した。
首相は総括という言葉を使われたが、その主体が何者にあるか、という以上に、それは、戦争と平和についての、あるいは、僕らの現在の基礎としての出発点としての総括と、明らかに言えるものなのだろうか。断罪によって何が解決し得たのだろうか。裁きの結果は、今日までの時代生成のなかで、充分に現在に活かされてきたのだろうか。
おそらくは様々の疑問符を受けて制作されたであろうテレビドラマ「東京裁判〜人は戦争を裁けるか」(NHK)が最近話題になった 。判事たちの苦悩が豊かに描かれ興味深かったが、同時に、1983年につくられた小林正樹監督によるドキュメンタリー映画「東京裁判」も、もう一度観たくなった。こちらはアメリカが撮影し秘蔵していたフィルムで構成されている。被告たちの肉声の発言を沢山聞くことができる。小林監督の執念を感じる。武満徹さんの音楽が鬼気迫る。上映時間は4時間半と長いが、繰り返し観るたび、迫るものが鋭くなってゆく。
東京裁判の記録に触れることは、太平洋戦争については勿論だが、日本文化の転換点についても考えることになると思う。さらに「制度」というものが如何にして構築され変化してゆくのか、さらにまた、人間と人間のあいだに、新たな「力関係」というものが如何に仕組まれてゆくのか、という点についても考えさせられるように思えて仕方がない。
人は現在、あるいは当面、何を良しとしてゆくべきなのか。制度とは、良心とは、道徳とは。
それは流動的なものなのか、普遍があり得るのか。公平とは何か。
戦争という暴力のなかで、善悪なるものに、僕らは決定的な判断を下すことができるのだろうか。果たして、果たして。
死刑宣告を受けた7名の人は正装での処刑を望んだという。そして否定された。そして遺骨は米軍により東京湾に捨てられた。そして火葬炉の残灰を拾い集めて弔われた、という。
彼らは彼らにとっての未来である僕らに何を託して、逝ったのだろうか。
戦争に反対する、
しかし、
戦争は止まない。
いったい、
戦争の正体とは何か。
戦わず、ともに生きる。
その一点に向き合う態度と行動の道しるべを、僕らは21世紀、未だ発見し得ていない。
また時が過ぎゆく。
いま僕らは。
ある年配者と話していて話題になり、あの東京裁判に関して未だ思い複雑と言われたが、僕など何をか私見を持つにはとても至らない。
有名なインドのパル判事による無罪主張(中公文庫にて読める)、ウェッブ裁判長自身による意見書はじめ、様々な疑問符を今に残す。
安倍首相は2013年3月12日の衆院予算委員会で「先の大戦においての総括というのは、日本人自身の手によることではなくて、東京裁判という、言わば連合国側の勝者の判断によって、その断罪がなされたということなんだろうと思う」と発言した。
首相は総括という言葉を使われたが、その主体が何者にあるか、という以上に、それは、戦争と平和についての、あるいは、僕らの現在の基礎としての出発点としての総括と、明らかに言えるものなのだろうか。断罪によって何が解決し得たのだろうか。裁きの結果は、今日までの時代生成のなかで、充分に現在に活かされてきたのだろうか。
おそらくは様々の疑問符を受けて制作されたであろうテレビドラマ「東京裁判〜人は戦争を裁けるか」(NHK)が最近話題になった 。判事たちの苦悩が豊かに描かれ興味深かったが、同時に、1983年につくられた小林正樹監督によるドキュメンタリー映画「東京裁判」も、もう一度観たくなった。こちらはアメリカが撮影し秘蔵していたフィルムで構成されている。被告たちの肉声の発言を沢山聞くことができる。小林監督の執念を感じる。武満徹さんの音楽が鬼気迫る。上映時間は4時間半と長いが、繰り返し観るたび、迫るものが鋭くなってゆく。
東京裁判の記録に触れることは、太平洋戦争については勿論だが、日本文化の転換点についても考えることになると思う。さらに「制度」というものが如何にして構築され変化してゆくのか、さらにまた、人間と人間のあいだに、新たな「力関係」というものが如何に仕組まれてゆくのか、という点についても考えさせられるように思えて仕方がない。
人は現在、あるいは当面、何を良しとしてゆくべきなのか。制度とは、良心とは、道徳とは。
それは流動的なものなのか、普遍があり得るのか。公平とは何か。
戦争という暴力のなかで、善悪なるものに、僕らは決定的な判断を下すことができるのだろうか。果たして、果たして。
死刑宣告を受けた7名の人は正装での処刑を望んだという。そして否定された。そして遺骨は米軍により東京湾に捨てられた。そして火葬炉の残灰を拾い集めて弔われた、という。
彼らは彼らにとっての未来である僕らに何を託して、逝ったのだろうか。
戦争に反対する、
しかし、
戦争は止まない。
いったい、
戦争の正体とは何か。
戦わず、ともに生きる。
その一点に向き合う態度と行動の道しるべを、僕らは21世紀、未だ発見し得ていない。
また時が過ぎゆく。
いま僕らは。