「いつも未来を見てきた
それは殺人だった」

と、レナード・コーエンは歌った。
オリバー・ストーンの映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のラストだ。

「ベルリンの壁を返せ
キリストを返せ
ヒロシマを返せ
、、、」

滑落してゆく世界に寄り添ってゆくような詩は、
美しいメロディに溶けて胸を刺したが、
いつも声が暖かだった。

「夜に聞えてくるのは
誰かの泣き声じゃない
悟りを開いたヤツの声でもない
寂しくて悲しい
ハレルヤ、なんだ」

低くて、太くて、かすれていた。
父親の声みたいだった。
たくさん聴いた。

とうとう亡くなってしまった。
レナード・コーエンに敬意を表したい。