大雪のおかげで電車が少し動いてもすぐ止まる。
いつも15分の都心まで2時間以上、まるで旅行。
旅行かと思えば、なんだかこれも面白い。
人ぎっしり。
雪景色もいいが、こんなにたくさん人がいると、つい色々みてしまう。
同じ表情は一つもない、同じポーズも一つもない。
一つとして同じでない体が
一つとして同じわけない秘密のドラマを抱えて、
別々の姿でじっとしている。
イい奴もワルい奴もびっしり過密に運ばれてゆく。
そういう自分もその一人。
当たり前だが慣れてしまうとそんなこと面白くなくなくなっていたことに、ふと気付く。
人が多いと人に興味を持つ心が痩せる。
そのくせ淋しがる。
満員電車の中で、過密と孤独が重なり合う。
あんなに吹雪いた積雪が、もう消えて、
いまから、たぶん氷になる。