物が物にあたって音を奏でる。
それを聴いて心が動く。
何だか素敵である。

たまたま今夜は雨が降っている。
空中から落下する無数の水滴が、
一粒一粒ひとつひとつの音をたてて、
世界を濡らしてゆく。

一粒一粒の水滴には体重があり、
その宿された体重が、
石や草木や土や人間の肌にあたって、
分解され飛び散り溶け合ってゆく。

さまざまな微細な音が生まれ、
反響し合ってゆく。

僕らには捉えがたいほど、
少しだけ、
世界が変化してゆく。

(ささやかなこと、ごく小さな変化に、喜怒哀楽を感じられる、そんな世界をこそ、願う。)