ヤン・ファーブルの展示『Tribute to Hieronymus Bosch in Congo (ヒエロニムス・ボスとコンゴ - ボスを讃えて)』を観ました。
死と生の境界から迫ってくる張り詰めた匂い。異様なまでの緻密さ。
巨大なタブローは、絵筆や絵の具ではなく、無数の甲虫の羽根をビッシリと張り込むことで描かれています。
タブローのあいだに点在する剥製や髑髏。それらもまた、甲虫の羽のかたまり。
ヤン・ファーブルが作品に起用した昆虫はスカラベです。
氏の曾祖父である生物学者アンリ・ファーブルの『昆虫記』で有名です。フンコロガシといもいい、以前、氏のパフォーマンスビデオでは、自らが巨大な糞玉を転がす姿を見ました。長年のキャリアのなかで、繰り返し現れるスカラベの作品。執拗なまでに。
ギャラリーには大きな窓があり、豊かに注ぎ込む外光を反射して、膨大な量の虫の羽がキラキラと光ります。
時の経過を、その前で過ごしました。
日が傾き、空が赤くなるにつれ、ファーブルの作品には別の表情が露わになっていくように感じました。
昼間は眩しいグリーンに覆われていたタブローのなかに大地のような茶色が輝き始めくっきりとした絵柄が見え始めました。
光の状態によって甲虫の羽根が色彩を変えるのです。
甲虫の羽根は1万年以上もその色彩や質感を保つそうです。
みつめながら、絶対的な停止を感じます。
その停止の強さゆえに向き合う私の内部は激しく動揺します。
(表参道の「エスパス ルイ・ヴィトン東京」にて)
死と生の境界から迫ってくる張り詰めた匂い。異様なまでの緻密さ。
巨大なタブローは、絵筆や絵の具ではなく、無数の甲虫の羽根をビッシリと張り込むことで描かれています。
タブローのあいだに点在する剥製や髑髏。それらもまた、甲虫の羽のかたまり。
ヤン・ファーブルが作品に起用した昆虫はスカラベです。
氏の曾祖父である生物学者アンリ・ファーブルの『昆虫記』で有名です。フンコロガシといもいい、以前、氏のパフォーマンスビデオでは、自らが巨大な糞玉を転がす姿を見ました。長年のキャリアのなかで、繰り返し現れるスカラベの作品。執拗なまでに。
ギャラリーには大きな窓があり、豊かに注ぎ込む外光を反射して、膨大な量の虫の羽がキラキラと光ります。
時の経過を、その前で過ごしました。
日が傾き、空が赤くなるにつれ、ファーブルの作品には別の表情が露わになっていくように感じました。
昼間は眩しいグリーンに覆われていたタブローのなかに大地のような茶色が輝き始めくっきりとした絵柄が見え始めました。
光の状態によって甲虫の羽根が色彩を変えるのです。
甲虫の羽根は1万年以上もその色彩や質感を保つそうです。
みつめながら、絶対的な停止を感じます。
その停止の強さゆえに向き合う私の内部は激しく動揺します。
(表参道の「エスパス ルイ・ヴィトン東京」にて)