スイスの写真家、キャサリン・グリスマンさんとダンスフォトの撮影をしました。

いま、次のソロ作品の制作を始めています、そこに「あなたがいまどんなダンスを生みだそうとしているのか東京での普段の稽古を見たいんだけど、どうかしら、、、。

「いま、いくつか新作のための試行錯誤を繰り返している、その作業で良ければ、、、。

と、稽古場に招いたのでした。5月14日のこと。

写真や映像のためのダンスは今迄も踊りましたが、今回はリハーサルそのものを被写体にする撮影。
夏から秋にかけて近日上演が決まってゆくはずの幾つかのダンス。タイトルも時間も未だ決まっていない、いわば「踊りの種」。芽が出るかどうかデリケートな時期です。その状況にカメラが入ったのは初めてでした。

僕の場合はからだを動かしながらでないと発想が浮かびませんから、まずカラダを動かしまくる。即興で動き倒す。動いている時間イコール考える時間。なので長時間に及び運動は止まらないし表情もあてどなく変化し続けていますから、カメラシュートにもかなりの集中力が必要だと思いました。

彼女の撮影は実に黙々と持続しました。一切の注文もなく、足音もたてず、ただリズミカルなシャッター音だけが静かに身体に染み込んできます。

からだを立ち上げてゆくプロセスに1時間、40分の完全即興、20分の休憩と対話、さらに50分の完全即興。

およそ3時間ほど、僕は無言で踊り続け、彼女はひたすらライカのシャッターを押し続けていました。

400枚近く撮ったんですよ、と微笑んだそのとき、ああ撮影を受けてよかったと思いました。

無言ゆえの、行為と行為だけでの対話を体験した感触。いや、対話というよりは静かに対峙すること。

まだ誕生する前の作品。カオス状態のダンス。肉体の、意識の、混沌。

彼女は、そんな状況を静かに見つめ撮影してくれました。煽らず、不要な熱気を出さず、むしろ自分の気配を消して。

その寡黙な仕事ぶりから誠実な人柄が垣間見え、感謝の思いがわきました。

貴重な時間を過ごすことができました。そして、この作業から得た体験を反映して、良い作品を生み出さねばと気持ちを新たにすることができました。

いま稽古中のダンスは、うまく進めば、夏に長崎で、秋には東京での新作ソロ公演として、上演することになりそうです。

企画が成立したら当ブログほかでお知らせします。今回の撮影も、編集~公開へと進めてゆくそうです。

もろもろ、ご注目いただければ光栄です。どうか、よろしくお願いします。