この数日の体験を僕は実に貴重に思う。

スコットランドはイギリスに留まることになった。人々は投票で決めた。

思い錯綜しても、一人一人の判断を形にする、という、この大規模な住民投票を成し得た。その行動に納得できる。次を希望できる。

投票から何かを進めてゆく。それをきちんとやる。劇的な変化ではなく、確かめながら変化してゆく。

世界は簡単に変わらないけれど、我慢強く歩いてゆくこと。

独立すること、帰属すること。経済、歴史、心情、現実、将来、さまざまについて、無血の判断を決意した人々の行動に、敬意と希望を抱いた。

社会は暴力ではなく、考えることで動くべきだ。

一人一人が「自ら考え、自ら決定し、自ら行動する。」という、これはヨゼフ・ボイスの芸術姿勢で、ルドルフ・シュタイナーの哲学を受け止めた静かな闘いだったが、それを思い出した。

労働が存在の価値を決めるのでなく、存在すること自体を価値と認める社会を構築する力を、僕らは試されつつある。

非戦の実現、ベーシックインカムの実現、友愛と経済の連動する時代、資本主義の克服。

心と物質の距離を近づける努力。
理想が現実の種となる時代。
その実現のキーは思考回路の展開に掛かっていると思う。
僕らの思考は未来の現実になる。

血を流すのでなく、知恵に命を託す。

一人一人が考える。一人一人の考えを形にして体験しあう。

体制維持のためでなく、幸福を思考するための制度を構築してゆく。

僕らが教育を受けた世代であること、その結果が、これから形になってゆく。
なぜ学ぶのか、なぜ働くのか。その答えが少しづつ見えてくるかもしれない。

やっと21世紀は始まりを迎えつつある。

この数日の体験を僕は実に貴重に思う。