靉嘔(Ay-O)氏の大規模な展示をみながら、心のマッサージを受けたような気分になった。
「ふたたび虹のかなたに」というタイトルそのまま、虹また虹。
広大な展示スペースを埋め尽くす七色のスペクトル。
これでもかと華やいで、まぶしい。しかし、それは絵柄のみならぬ。膨大な作品群が放つ、明るさ。
創造し続けるエネルギーのまぶしさなのかなと思った。
この人が描き続ける虹の軌跡は、なにしろ5年や10年ではないのだから。
一貫して、ひとつの何かを追い続けること、これは本当にすごいことなのだ。
それから、この人の作品の一貫性の中には、手をつないでいる、触れ合っている、そんなイメージが通呈している感じがしてならない。
作品が、孤独じゃないのだ。
共感から始まってゆく世界というのかしら。
色んな困難をつきぬけてゆくような、精神的な明るさが、全ての作品から漂ってくる。
とても強い人なんだろうなと思いながら、味わっていた。

ps:帰路、土砂降りの雨が、突然止んだ。雲の裂け目から夕陽が何とも明るかった。その光の明るさが、ついさっきまで観ていた美術の世界にかさなった。アートは、現実をいつくしむ力を呼び起こしてくれるのかもしれない。うれしい。
夜のダンスクラスで、きょうは虹が出ていたんですよ、と教えてくれた人がいた。

(靉嘔氏の展覧会は東京都現代美術館にて6日まで。おすすめです!!)