新作「カラビンカ」(11/16~17公演)。公演までのあいだ、創作日誌の一部を・・・。
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【触れること、触れ得ぬこと】

明るみに立てば、わずかな影さえ哀しさをそそる。
暗闇に立てば、ほのかな光さえ、甘い。

なんと、この知覚というやつは、
遠さばかりに敏感で、薄いガラスのように、こわれやすい。

触れる、振れる、震える。

砂粒、
風、
水流、
女性、
日だまり、
月光、
麦の穂、
花びら、
子どもたち、
アナタに、

触れることで、ワタシは振れ、震えはじめる。
そして、たったいま触れているその奥に、
決して触れ得ぬ遠さがあること
を感じ、
触れてしまった
ことを恥ずかしがっている。
肌にはりめぐらされた、神経。
エロスの仕組みは、なんとも切ない。

ある日、他人の髪の毛が一本、首筋にまとわりついたのだった。
風が運んできたのだが、さて男か女か子どもか、
病のような不吉と汗臭いエロスとが、この首筋で混合して、
見知らぬ人のただ一本の髪に、おびえた。
生き死に。
の一部に触れてしまった気がして・・・。

迷路に舞い手が立つ。
清浄の方角へ、肉を削る、身を振る。
闇に触れているのか、光に触れているのか。
舞うコト・・・。
祈りと恋のはざまにぶらさがった、まま、

急速に過敏となるカラダ。//

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(主題の外側だが・・・)
ビルマでは、祈りに従事する人々が殺戮されたときく。
触れ得ぬものに近づこうとする行為、それが祈りとするならば、
いかな事由があるとて、
そのような人を殺すとは、人の人たるなにがしかを怖れるあまりの行為と感ずる。
権威は、人の何を恐怖するのか。
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9/24の日記。この少しあとで、音楽の鈴木さんから、最初のデモテープが届いた。それは「聴こえない」のに「感じる」音域をふんだんに使っている。氏の舞踊音楽には、知覚の実験が含まれているのだった。

【公演詳細&チケット】
11/8まで、事前振込の割引をしています。ぜひご利用ください。