新作「カラビンカ」(11/16~17公演)。本番までのあいだ、創作日誌の一部を・・・。
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【砂粒】
足裏で、砂を踏む。
感じをたしかめたくて。
ちょうど盛りの過ぎた桜の樹々に囲まれて、小さな砂場。学校帰りの小学生。
靴を脱いで、裸足を差し入れたのだった。
踏みつつ、触れつつ、
足の記憶がさまよう。
この小さな砂場が、あちこちの砂地や砂漠に、姿をうつろう。
いままで、一番優しかったのは地中海の浜辺の砂。
一番冷たかったのは、東ドイツの収容所跡、そこになぜかあった砂地の砂。
時間を数えているのか、あれこれ横切る記憶を数えているのか、
一万程の微妙な足踏みの中で、
気付けば一時間ほどか・・・。
粒を知覚している。
いろんな砂があるものだ。
肌を刺そうとするやつ、指紋にまとわりつくやつ、金属質のカチンとしたやつ。
砂は鉱物の音楽だ。
ささやいている、歌っている、吠えている、笑っている、極小の石つぶてども。
これ以上、壊れないところまで小さくなって、
足の裏で、その一粒の、いわゆる単位というやつの、さらに内部へと入ってゆこうとするとき、
何ともどうしようもない「ひとつ」という単位が、哀しいような懐かしみをおびて、
俺自身という、やはりいわゆる単位というやつの感情に、
ミリメートル近づくことができる気がするのだ。
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これは、まだ何も決まらぬ頃の文章。春の終わり。作品と砂が、いかなるところで交わるのか、交わらぬのか、わからぬままに練習。直感でしかない選び方の、いろんな場所で行為してみる。少しばかりの身体記憶をスタジオに持ち込んで、またどこか気まぐれな場所にこの身を運ぶ・・・。遠回りが好きなのでしょうか、我ながら不器用な創作法です。
【公演詳細&チケット】
観客と至近距離での上演意図ゆえ、お席が限られています。お早めにお申し込みください。
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【砂粒】
足裏で、砂を踏む。
感じをたしかめたくて。
ちょうど盛りの過ぎた桜の樹々に囲まれて、小さな砂場。学校帰りの小学生。
靴を脱いで、裸足を差し入れたのだった。
踏みつつ、触れつつ、
足の記憶がさまよう。
この小さな砂場が、あちこちの砂地や砂漠に、姿をうつろう。
いままで、一番優しかったのは地中海の浜辺の砂。
一番冷たかったのは、東ドイツの収容所跡、そこになぜかあった砂地の砂。
時間を数えているのか、あれこれ横切る記憶を数えているのか、
一万程の微妙な足踏みの中で、
気付けば一時間ほどか・・・。
粒を知覚している。
いろんな砂があるものだ。
肌を刺そうとするやつ、指紋にまとわりつくやつ、金属質のカチンとしたやつ。
砂は鉱物の音楽だ。
ささやいている、歌っている、吠えている、笑っている、極小の石つぶてども。
これ以上、壊れないところまで小さくなって、
足の裏で、その一粒の、いわゆる単位というやつの、さらに内部へと入ってゆこうとするとき、
何ともどうしようもない「ひとつ」という単位が、哀しいような懐かしみをおびて、
俺自身という、やはりいわゆる単位というやつの感情に、
ミリメートル近づくことができる気がするのだ。
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これは、まだ何も決まらぬ頃の文章。春の終わり。作品と砂が、いかなるところで交わるのか、交わらぬのか、わからぬままに練習。直感でしかない選び方の、いろんな場所で行為してみる。少しばかりの身体記憶をスタジオに持ち込んで、またどこか気まぐれな場所にこの身を運ぶ・・・。遠回りが好きなのでしょうか、我ながら不器用な創作法です。
【公演詳細&チケット】
観客と至近距離での上演意図ゆえ、お席が限られています。お早めにお申し込みください。