今の時代ならではの気になるタイトルの映画だった『#拡散』 | (株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

(株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

ついこの間始めたばかりだと思っていたこの会社も、干支で言うとひと回りを越えて、15年目に突入してしまった。その間には、コロナ禍や事務所の引っ越しも含めていろいろなこともあったかな。そんなことを思うと、まあ、よくここまで持っているかなというところだろうか。

 拡散とは本来、「様々なものが広がり、散ること」という意味で、物理化学の世界では「物質や分子がランダムな熱運動により、農取高い方から低い方へ自動的に移動して、全体的に均一な濃度へ広がっていく」という意味になる。ただ、現在では「ネット上である情報をランダムに広げていく」という行為に関して用いられる。そんな意味で『#拡散』(白金・監督、原案/港岳彦・脚本)というタイトルのこの作品が気にはなっていた。

 コロナ禍の時代、ワクチン接種をした妻がその翌日に亡くなった。そのことに対して抗議したいと夫であり、あまり積極的な気持ちではなく介護士わしていた男が翌日から、妻の遺影を掲げて病院の前で抗議を続ける。その男が成田凌。それに興味を持ったのが一人の女性記者だった。その、いささか気の強い女性記者を沢尻エリカが演じる。これは、案外本人のキャラクターにもあっていたのではないかと思えたところでもあった。

 その報道を通じて、彼はやがて「反ワクチン派」の旗頭的存在に祀り上げられる。そして、ユーチューブなどでメッセージを配信していきながら、いわゆるインフルエンサーみたいになって、多くの人にも影響を与える存在となっていってしまう。果たして、そのことが本人の意図するところだったのかどうかというと、そうではなかったのかもしれない。そういう自分に対して、自分自身でも振り回されているというのが現実だ。

 とは言うものの、今の時代は一つのニュースや現象がネット上で「拡散」されることによって、本人とはまったく異なった意味で世の中に流布されていくというケースも多くある。本人の意図や思いとは別に、ネットでの「切り取り」という作業によって、そのことが独り歩きしていく。それは、あたかも事実であり、本人の意志であり、それがすべてであるかのように認識されていくという危険性を多くはらんでいるのである。

 そんな、今の時代に起こりうる、いったい何が真実で何が正しいのかわからなくなっていくという現象についての危険性をも表していた作品とも言えようか。そんな現象が跋扈していくことによって、相手を論破したりねじ伏せたりして、個人の小さな世界での正義や独善的な正当性を「よし」としていく世界。そんな、無今のネット社会のいびつさや危うさを、富山県の美しい立山連峰の映像とは裏腹に、映し出されていた。それも、意図的な演出だとしたら、それはそれで素晴らしいとも思う。

 しかし、大自然の前で、今の人間社会があまりにも卑小で独善的で、歪んでいる。そのアンバランスさを描こうとしていたのだろうか…。富山でのロケシーンがほとんどだったということに対して、ボクはそんな思いも抱きながら観終わっていた。