穏やかな春の陽光に包まれて、鶴見の東芝グラウンドでOP戦観戦 | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 土日の寒さが、一息ついたかのように、4日午前中の日射しは春の訪れらしい、早春の光が満ちていた。そんな中で、横浜市鶴見の末吉橋にある東芝鶴見総合グラウンドへ足を運んで、社会人野球チームのオープン戦「東芝・日本製鉄鹿島」の試合を観戦した。

 来るべきシーズンへ向けて、社会人野球の企業チームも調整に余念のないところである。今週末には「春を呼ぶ」と言われている社会人野球東京スポニチ大会も開幕する。今年は東芝は参加しないが、日鉄鹿島は出場するので、まずはそこへ向けての調整ということになるであろう。

赤が基調の東芝と、青が基調の日本製鉄鹿島

 

日本製鉄鹿島000 010 000=1

 東  芝 600 000 04X=10

 

 1958(昭和33)年に創部以来、都市対抗野球優勝7回、日本選手権大会優勝2回という実績を誇る名門東芝。母体の企業では、経営悪化で何やかやがあったりもしているようだが、それでもカルロス・ゴーンなどと言う私利私欲しかない変なヤツを連れてきて、野球部を休部に追い込んでしまった日産自動車とは違って、しっかり維持しているのは立派だと思う。スポーツ活動は維持していかなくてはいけないという、企業としての意識も評価したい。

 社会人野球だけではなく、ラグビーやバスケットボール、バレーボールも含めて、日本の企業スポーツをけん引している存在の一つと言っていいであろう。

7回を1失点で投げ切った東芝・善武士(多良木)

 日鉄鹿島は住友金属鹿島の歴史を背負っているのだが、1975(昭和50)年創部で都市対抗は22回、日本選手権は11回の出場で、優勝経験はないもののベスト4には都市対抗で3度、日本選手権でも2度ある。日立製作所と並んで、北関東の強豪である。

 この日の先発は、東芝は今年で10年目になるベテランの善(多良木)。日鉄鹿島は4年目の諸見里(沖縄尚学→國學院大)だった。善は7回を投げたが、被安打6の1失点でまずまずの内容だった。初回に大量リードを貰ったということもあって余裕もあったのかもしれないが、2~4回はきっちり3人ずつで処理。投球の上手さも光った。

任された2イニングを三者凡退に抑え好投した土屋大和(関東一→立正大)

 これに対して諸見里は立ち上がりにリズムに乗り切れずに失敗。初回には8番大庭(明豊→専大)の3ランを含めて5安打を浴びて打者一巡で6失点。それでも、2回以降は走者を出しながらもしっかりと抑えていた。とはいえ、この日の試合の入りは反省材料ではあろう。

 日鉄鹿島では、二番手として投げた新人の土屋(関東一→立正大)が2イニングを3人ずつで抑えた投球は見事だった。最初に投手直撃打球を好捕した反応も良かった。しかし、そのリズムを貰ったはずの続く金城(神村学園→青山学院大)は四球でリズムを崩して、5安打を浴びて4失点。1イニングを投げ切れないで降板となってしまった。

東芝の新戦力となった萩原捕手(東海大相模→流通経済大)

 東芝は、8回からは3年目の西村(智辯学園)が投げたが、3人ずつでしっかりと抑えて状態の良さをアピールしていた。

 社会人野球は、ここから夏の都市対抗野球と秋の日本選手権へ向けての戦いということになっていく。そして、それまでに各地の全国大会などでチーム力を確認しながらまずは、企業チームとしては負けられない都市対抗予選へ向けて整えていくということになる。

 社会人野球の見どころとしては、東京ドームを目指す都市対抗野球の地区予選も大きい。企業としての面子をかけても、どうしても出場権は確保したい戦い。負けられない戦いということになるのだ。この、地区予選の戦いも、観る側にとってはとても興味深いものでもある。

 今年も、そんな社会人野球の舞台も追いかけていきたいと思っている。